キャリアガイダンスVol.423
33/66

 次期学習指導要領の答申で「キャリア・パスポート」について記述されたことを受け、沖縄県ではキャリア教育支援事業の指定校の5校が先行して取り組むことになった。北谷高校では昨年の4月から自校の生徒の状況に合わせた「キャリア・パスポート」を作成し、運用し始めている。 「キャリア・パスポートとは何かを考えたときに、進路の際に志望理由書を生徒が自分の力で書くために有効なツールだと思いました」(手登根先生) 同校では生徒が志望理由書を書けるようになる指導を、全教員一丸となって行っている。教員全員がそのための研修を受け、3年生の生徒に対し、学年や教科の枠を越えて1教員が6〜7名の生徒を担当。指導内容は主に、小論文や自己PRの書き方だが、そのときに高校生活での自分を振り返るツールとして「キャリア・パスポート」を有効活用したいと考えている。 そのために、生徒が自分の成長を言語化しやすいフォーマットにすることを考え、各学期の始めと終わり(図8・9参照)、行事のときと、年間で6回記入することとした。学年によってフォーマットは異なる。 独自の視点として「学ぶは真似ぶ」という、見習いたい人を具体的にあげて、その人のどんなところを真似たいかを書く欄を設けている。学期始めには目標として、学期の終わりにはどれだけ真似られたかを書く。また、学校活動だけでなく、校外での習い事やアルバイトなど、生徒のキャリア発達に関わることを含めている。 「キャリア・パスポートを教員がどう見るべきかも三川先生からアドバイスいただきました。生徒が素直な気持ちで書いているものなので、いま何を感じているかを丸々受け止めることが大事で、生徒との対話をさらに広げる手立てになるはずだと。教員は誤字などをチェックしがちですが、それは教科ですべき指導で、キャリア・パスポートでは生徒がどんな気持ちで書いているかを、教員が考えながら読み取らなければならないと気付きました」(手登根先生) 本格的な運用はこれからだが、生徒の見方を教員が理解できるツールとして、改良しながら役立てて行こうとしている。 沖縄県教育委員会はキャリア教育支援事業(平成27~29年度)として、石川高校、嘉手納高校、北谷高校、宜野湾高校、豊見城南高校の5校を指定。その取り組みの一環として「キャリア・パスポート」の策定をはじめ、主体的・対話的で深い学びへの授業改善など、学校ごとのテーマ研究に取り組んだ。 その中で、「キャリア・パスポート」を研究テーマとしたのが嘉手納高校だ。同校は120ページに及ぶ独自の「進路のしおり」でキャリア教育に当たってきたが、それを一新し「キャリア・パスポート」と合体させる計画がある。昨年は、10月に行った総合的な学習の時間の発表会後に1回のみ「キャリア・パスポート」の記入を実施。見えてきた課題を次年度からの運用に活かそうとしている。 「フォーマットには生徒が自己評価できるルーブリックを入れ、その他の項目は具体的な設問にし、記入欄は小さめにしました。しかし、半年間を振り返らせるのは期間が長すぎたため、今年度からは年5回程度にする予定です。キャリア・パスポートはキャリア教育の多数の施策を有機的に結びつけ、教員が個々の生徒と目線を合わせて進路を考えていくツールとなると期待しています」(清家 洋先生)図10 「キャリア・パスポート」の運用方法「キャリア・パスポート」はファイルとしてまとめ、従来から生徒個別に進路関連の資料を保管していたバインダーの中に綴じて生徒に持たせている。「キャリア・パスポート」記入の留意として「教員が助言しないこと」「完成のために持ち帰らせないこと」などを教員に徹底した。嘉手納高校・進路指導部清家 洋先生1学期の終わりに記入するシート。学期をふり返り、学習面、生活面で各10点満点での達成度や、印象に残った出来事を記入する。1年生が入学したときに記入するシート。高校生活で身に付けたいこと、大切にしたいこと、1学期で真似したいことなどを記入する。平成29年度キャリア教育支援事業の取り組み沖縄県教育委員会生徒の素直な気持ちが表出生徒の見方が理解できてくる「キャリア・パスポート」の導入キャリア・パスポートを研究し有効活用を進める嘉手納高校図9 図8 生徒の自己評価力を高める教員の対話的な関わりとは?キャリア・カウンセリング実践事例 北谷高校(沖縄・県立)332018 JUL. Vol.423

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る