キャリアガイダンスVol.423
41/66

「前任校でも進路指導を担当しました。しかし、そこで培ってきた効果的な取り組み等を他の先生方にしっかり引き継ぎできていないままの異動となったことを後悔しています」と田中先生。また、小山高校でも以前ある年だけ国公立大学合格者が例年よりかなり多かったことがあった。一人の担任の先生の職人のようなノウハウがあったからだが、それもうまく引き継がれることはなかった。 そういったことを再び繰り返さないための方法の一つとして、進路指導部では毎年3月、その年の反省をふまえつつ翌年度の「進路指導部全体計画」(ツール1)を立てている。この計画書を確実に作り上げ、部員はもちろん全教員と共有する。「一人のスーパーマンではなく、組織全体で継承し強くなることが必要」とその理由を語る田中先生。進路指導副部長を2人としていることも、関わる人数を多くすることが大切だと考えているからだという。 18年度の計画書はA4全7ページ。進路指導部の目標「志望する進路に向けて、逞しく努力できる生徒の育成を目指し、個々の生徒の進路希望が達成できるように指導する」から始まり、どのような指導をしていくかが詳しく書かれている。努力数値目標も「国公立大学合格者数 現役70人以上を目指す」など具体的だ。 2つのキーワード「3年間の指導ストーリーを確立する!」「仲間の声を力にす 栃木県立小山高校は、2018年、創立100周年を迎える伝統校。農業・商業高校としての歴史が長かったが、72年に男子普通科を設置。06年には男女共学とした。徐々に進学実績を伸ばしながら中堅進学校として地域の信頼を得てきた。 進路指導部長の田中正樹先生が同校に赴任したのは8年前。進路指導副部長を1年務め、前任校時代にも抱えていた「担当者が変わると、いい取り組みでも継承されない、またはただ続けていても形骸化してしまう」「取り組みによっては現場の教員の負担感が重く疲弊する」という悩みが小山高校にもあると感じた。また、当時の小山高校の進路指導はどちらかといえば学年主導型。「それでは学年による指導に差がでる。また個々の取り組みの意義と目的を明確にする必要がある」と考えた。赴任2年目で進路指導部長となってから、毎年PDCAサイクルを回し進路指導全体の舵取りを進路指導部が行う体制を構築。近年は副部長も2人体制とした。現在、取り組み一つひとつの理念やスキルを実践しながら継承、また先生方の経験や卒業生の成績を数値などのデータに置き換え、整理・蓄積している。さらに学習指導部や数理科学科とも連携を強化。学校全体で共通認識を持ち「チーム小山」としての結束を強め、「入学してから生徒本来の良さ・力・可能性を伸ばす」指導に尽力し、県南地区の進学拠点校作りを進めている。小山高校(栃木・県立)構成/平林夏生 文/永井ミカ大学進学205人、短大進学2人、専各進学7人、就職1人、その他19人国公立大学の現役合格者数は例年70人前後。探究活動のある数理科学科を中心に大学進学者の約1/3が推薦・AOでの合格。近年、GMARCHをはじめとする私立大学への合格者数も増えている。1918年創立/普通科(普通科・数理科学科)/生徒数699人(男子433人・女子266人)進路指導部全体計画を指針に教員全体での協働体制を確立学習指導部長落合一憲先生(後ろ左)進路指導部長田中正樹先生(中央)数理科学科長岡本英雄先生(後ろ右)進路指導副部長加藤正雄先生(前左)進路指導副部長松本修一先生(前右)412018 JUL. Vol.423

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る