キャリアガイダンスVol.423
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先生方の意欲に火をつけることになったと思います」と田中先生。分析結果を共有、校内模試の意義を納得してもらうことで問題作成の精度は上がり、毎年の平均点がほぼ変わらず、校外模試とも連動する結果となっていった。地元の国公立大学や高大連携で身近に感じている大学など、生徒たちが実際に受験したいと考えている大学に照準が合っているので、面談の資料としても使いやすい。 生徒には『進路の手引』で公開。「あとX点アップすれば、○○先輩の行った○○大学○○学部に合格できる可能性が出てくる」という具体的な目安が見えやすくなった。進路指導部では進路指導部長と全3年生との2者面談の機会を年2回ずつ設けており、生徒は志望動機を確認すると共に、そこでしっかりデータを読み取りながら進路検討ができる。これらの取り組みが実り、同校の国公立大学の合格率は全国平均をかなり上回っており、地元宇都宮大学を中心にさらに伸び続けている。 なお、同校ではオリジナル設問の1・2年生向け実力テストもなるべく多く実施している。「本校の生徒は復習を繰り返すことで力がつく学力層」(田中先生)ということで、追試や2回、3回と繰り返す振り返り授業で学力アップを図っている。 同校では96年度から普通科の中に数理科学科クラス1クラスを設けている。数理科学科・理数科としては栃木県で唯一だ。「当時から今でいうスーパーサイエンスハイスクールに近い取り組みをしていたと聞いています」と数理科学科長の岡本英雄先生。「課題研究・探究活動のため、博物館や大学など協力していただけそうなところには積極的にお願いしてきました。外部連携は確実に生徒に力がつきます」。 早い時期から小山高校には外部連携という文化があったこともあり、現在の進路指導部でも、教員の負担削減、生徒に力をつける、進路に対する視野を広げるなど、さまざまな目的で外部との連携を行っている。 ただし丸投げをするのではなく、協働で小山高校らしいものを作り上げていくというイメージだ。そうして生まれたのが、1・2年生で実施するアクティブラーニング型キャリア教育。生徒と大学生がグループを組み、進路や学問について共に学んでいく。狙いは「進路に向けた動機づけ」「学問の社会的意義の実感」「進路実現に向けた主体的な選択」だ。大学生の話を聴き、語り合い、同級生と宣言を行う…外部から提案があった授業をベースに話し合い、アレンジしながら作り上げたプログラムだ。 「以前からパネルディスカッションや講演を行っていましたが、生徒の心に刺さるものと、なかなか届かないものがありました。どうすれば〝行き方〞ではなく〝生き方〞指導につなげられるか、どうすれば生徒を引きつけて内発的動機づけができるかを考えた一つの結果がアクティブラーニング型キャリア教育です」と田中先生。そのほか、文理選択講演や適性検査の分析などはデータや経験が豊富な外部関係機関に依頼。「先生方の業務の負担軽減になるだけではなく、誰かが異動しても外部関係機関の担当者と連絡をとれば同じ取り組みができる。これも、効果的な取り組みを継承していくための一つの方法だと思います」(田中先生)※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.423)アクティブラーニング型キャリア教育『未来の教室』。大学生から進路決定体験談や大学生活の話を聴いたあとで、高校生が進路を語り行動宣言を行う。1クラス40名の数理科学科では1年生のフィールド合宿で科学的・論理的な思考力を養い、2年生の課題研究につなげている。推薦・AO入試により、筑波大学などの難関大学への合格者も輩出。写真上/協力大学の研究室で課題研究の打ち合わせ 写真下/宇都宮大学での成果報告会外部と連携・協働したAL型キャリア教育の充実へ 進路指導部の数々の取り組みが定着してきた同校。これからの入試改革に向けて新たに拡大したいのが、数理科学科で長年取り組んできたような実践。「今後普通科でも総合探究活動を進路実現に結びつけていく必要があります。長年に渡る数理科学科のノウハウを生かし、大学の公開講座をはじめいろいろな機会を利用して生徒を積極的に外の世界に触れさせたい」と進路指導副部長の松本修一先生は言う。 また、進路指導部の方針として、例えば動画授業などICTを学習に活用する生徒としない生徒では成績に違いが表れるか…などといった細かなデータも収集・蓄積し、生徒や教員にエビデンスを示していくという。何事もやりっぱなしにせず、PDCA(計画↓実行↓評価↓改善)を繰り返すことが継承につながることがわかってきたからだ。 もちろん、これまで行ってきたさまざまな取り組みの中ではうまくいっていないと感じられるものもあった。しかし、教員同士の強い連携があれば風通しよく意見交換もでき、失敗の繰り返しを防ぐことにつながる。近年、「入学してから伸びる学校」に育ってきたという同校。「小さな積み重ねを大切にし、生徒本来の良さ・力・可能性を引き上げ伸ばしていきたいと考えています」(田中先生)積み重ねを継承し、学校全体で取り組むことで、生徒の良さを最大限引き上げる進路指導に432018 JUL. Vol.423

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