キャリアガイダンスVol.423
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● 高齢者体操教室(連携:地域包括支援センター)● 高齢者配食サービス(連携:地域ボランティア団体)● いどばたサロン(連携:社会福祉協議会)● 認知症あんしんサポーター養成講座 (連携:地域包括支援センター、近隣小学校)● 福ノ川ふれあい交流農園運営● 小学生との協働学習、交流農園作業、野菜引き売り、パン販売 (連携:近隣小学校特別支援学級)● 児童館イベントの運営参加(連携:近隣児童館)● 子育てサロンや乳幼児教室でのパンなどの販売● 情報印刷ワークショップ● 地域美化活動、街路樹サポーター● 地域感謝祭参加                などた瞬間だった。 この時の生徒の生き生きとした様子から、同校は地域協働活動の充実に大きく舵を切った。地域の人たちの活動を手伝うなかで、生徒は「ありがとう」のシャワーを浴びる。他者から感謝され、必要とされることを実感し、生徒は主体的に活動に取り組むようになり、自己肯定感を高めていくという。 「『デュアルシステム』で効果が出にくい生徒の背景の1つに、自己肯定感の低さがあったように思います。答えが1つではない現代社会において、主体的で自分らしい生き方をする基盤として自己肯定感は重要です。障がいの程度にかかわらず、誰もが人の役に立てることがある。地域協働活動では、それを学校と地域がお互いに必要とする関係性のなかで実感していく機会となりました」(森脇元校長) 現在では、地域ボランティアグループが主催する高齢者に弁当を作って届ける配食サービスにおける協働や、同校農園での小学生との協働学習など、多種多様な協働活動を実施(図3)。年間のべ約1000人の地域の人が同校に関わっている。 現在、職業学科をもつ京都市立の特別支援学校は、同校のほか、鳴滝総合支援学校と東山総合支援学校がある。3校の合計生徒数は10年余りで約2倍に増加し、生徒の課題の多様化が進んだ。そんな状況に連携して対応しようと、14年度から3校が互いの専門教科の教育環境と実践知の資源を活用し合う取り組みを始めた。 白河校の職業学科には3つの専門教科「食品加工」「農園芸」「情報印刷」があり、本人の希望や適性に基づいていずれかに所属し学んでいる。同様に、東山校は「地域コミュニケーション」、鳴滝校は「クリーニング」「メンテナンス」「福祉・介護」と異なる専門教科を設置している。こうした異なるリソースを共有して、幅広い学びの機会を提供し、多様な課題に役立てようというのだ。 例えば、東山校の生徒が白河校の地域協働による配食サービスを体験したり、白河校の生徒が鳴滝校でのメンテナンスの授業に定期的に通うなど、生徒の課題に合わせて設定。他校に出向いて体験する生徒にとっては新たな発見や学びがあり、迎える側の生徒にとっては自分の習得したスキルや知識を他校の生徒にどう伝えるかを考える機会となっている。 さらには、この学びの「場」を、総合支援学校普通科の生徒や、高校に在籍する発達障害のある生徒にも広げる「プラットフォーム構想」も進めていきたいという。 こうして、生徒自身の学びを引き出すための環境づくりに励んできた同校で、生徒は一歩ずつ社会で生きていく力と気持ちを育んでいる。 「入学したばかりのころ、多くの生徒は1人で企業実習に行かせるのも心配な状態です。ドアをノックするのに足が震えるぐらい緊張したり、衣服にご飯粒をくっつけたまま行ったり、朝起きられず遅刻を繰り返したり…。それが、さまざまな人と関わり、叱られたり、褒められたりしながら、少しずつ社会人としての自覚を高めて巣立っていきます」(藤林副教頭) 就職率は当初より高水準で変わりないが、就職後の状況は変化した。 「最近は就職1年目に離職する生徒が大きく減少しています。離職した場合も、より自分に合う仕事や、より好待遇の職場へといった前向きな転職が多いようです」(藤林副教頭) 「デュアルシステム」や「キャリアデザイン」、地域協働活動、他校との連携などのハード面は整いつつある。生徒の成長には、こうした仕組みさえあればよいわけではない。そこで同校は今一度、「誰にとって、何のため」の仕組みかを確認し、ソフト面の充実を図ることに力を入れていくという。 「形だけの継承にならないためには、実際に仕組みを動かす教員の力が生命線になります。我々教員が、生徒一人ひとりの多様な特性に合わせるという意識を高め、生徒自身の学びを引き出す力を一層磨いていきたいですね」(柴垣校長)校長柴垣 登先生京都市教育委員会 参与(元白河総合支援学校長)森脇 勤先生図3 地域協働活動の例他校のリソースを活用し合い生徒の多様化に対応仕組みを活かす教員の力が生命線※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.423)■高齢者体操教室生徒は会場準備や受付、インストラクター補助などを行う。参加していた高齢者から、体操教室に関わった生徒の卒業式に臨席したいとの申し出があったこともある。■高齢者配食サービスボランティア団体が同校調理施設を使ってお弁当を作り、高齢者の自宅に届けるサービス。生徒は調理、盛り付け、高齢者宅への配達などを手伝う。写真は、同校生徒が東山校の生徒と共に協力しながら盛り付けをする様子。■小学校特別支援学級との交流専門科目「農園芸」を学ぶ生徒が、特別支援学級の児童に畑作業や野菜の収穫方法などを教えている。同校生徒は「どう伝えるとわかりやすいか」「どうすると児童に達成感をもってもらえるか」などの話し合いを重ねて取り組んでいる。副教頭藤林真まこ紅先生492018 JUL. Vol.423

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