キャリアガイダンスVol.423
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実施日協力企業数体験数応募者数体験人数(小学生)参加生徒数(高校生)第1回2013/12/1510101076812第2回2014/2/23182823512918第3回2014/12/21203431216720第4回2015/12/20244343620525第5回2017/2/26295262024136第6回2018/2/4325872027546コミュニケーションに課題を抱える生徒が増えてきた頃から、保田先生は生徒が社会と関わる経験を意図的に増やしてきた。校内では「学校だけで育てるには限界がある、地域と学校と家庭が一緒になって生徒を育てていくのが理想ではないか」という議論が交わされた。「大切なのは自己有用感だと考えています。ありがとう、と言われることや、自分の技術や知恵で人の役に立った実感がそれを育てるんやと思います」(保田先生)。 2006年から始めた学校設定科目「堺学」もそのための取り組みだ。工業系の特徴を生かし、地元の伝統工芸士を講師に招いてものづくりを学ぶ授業だ。例えば打ち刃物講座(堺学A)では、約5カ月かけて自分だけの包丁を作りあげる過程で、地右から 松下伊織さん(3年次・生徒会長)保田光徳先生(首席・進路指導部長)気になる運営資金だが「ユーメ」の原資は地元企業団体から寄付をしてもらっている。また、ユニフォームの作製は大阪府教育委員会に掛け合い、予算をつけてもらった。「『ゆめ・チャレ』実施に興味をもってくれたら、ユニフォームの貸し出しもノウハウの提供もいくらでもするので、声をかけてほしい」と保田先生は言う。被災地に送る包丁には、1本ずつに生徒からのメッセージを入れた。寄贈品や寄付金は極力生徒が現地を訪れて渡すようにしている。岩手県釜石市に包丁や線香を届けた際には、市木のタブノキが線香の原料と知った市長から依頼を受け、釜石産の木を使った線香を作り、2013年の慰霊祭の際に800箱を届けた。場産業への誇りや自信を育てたいという。  生徒に自信や行動力が付いてきたと実感したのは、東日本大震災後の姿を見た時だ。堺学を受講する生徒から何かしたい、という声が上がり「東北支援プロジェクト」を立ち上げた。家庭科で使う包丁が流されてしまった学校があると知り、打ち刃物作りの上級講座(堺学B)で小中学生用の包丁を作ったのだ。 5年目の16年には「そろそろ切れ味の悪くなっている頃では」という生徒の声が契機となり、伝統工芸士の方々と共に東北各県を訪れ、寄贈した包丁の砥ぎ直しを行った。線香作りを学ぶ堺学Cの生徒たちは、被災した各市の市花の香りの線香を作って販売し、売り上げと共に線香を寄贈する活動を続けている。 保田先生は、ものづくりを体験した生徒は「作り手の気持ちや世の中の仕組みがよく見えるようになる」と視野の広がりも指摘する。また、地域が学校を見る目も変わってきたことを実感しているそうだ。「『ゆめ・チャレ』によって商店街を訪れる人が増えたり、伝統地場産業を誇りに思う若者が増えることは地元に歓迎されています。また、地元事業所の協力もあり、在校生徒の就労率は95%、就職希望者の就職率は100%に上がりました(School Data参照)。地域と家庭と共に生徒を育てるという理想に近づいています」理想のあり方は地域と共に生徒を育てること図1 ゆめ・チャレの実施規模推移■ 「ゆめ・チャレ」の様子■ 「堺学」で作った製品532018 JUL. Vol.423

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