キャリアガイダンスVol.423
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■ 茅ケ崎高校(神奈川・県立)ループワークも行う。名前の順に5〜6人のグループに分かれて挑戦するのは、一人ひとりが異なるリズムで手拍子を合わせる、リズムアンサンブルだ。 「単にリズムを合わせるのではなく、『並び方を工夫したら音はどう変わる?』『手拍子に強弱をつけたら?』『何でもいいからやってみよう!』と、工夫してみることも求めます。そうすると、背の順や誕生日順に並んでみたり、男女男女で並んでみたり、各自が体を上下させて列を動かしながら手を叩いたりと、生徒たちからいろいろなアイデアが出てくるんですよ」 全体歌唱では、毎回、生徒が聞き慣れた曲から歌い、「生徒をのせてから」難しい曲にチャレンジ。曲によってはグループに分かれて、歌詞への想いの込め方や、音の強弱などを自由に考えてもらう。 5月後半から取り組むリコーダーでは、全体練習のあと、こちらもグループ別の練習へ。グループごとにリーダーを決め、そのリーダーがテストを受けて合格した 生徒が音楽を楽しみ、そのなかで自分も出せるよう、石井先生は4月より、さまざまな切り口で授業の場を温めていく。 机の並びは二列のコの字型。授業はその周りをぐるぐる歩いて、雑談をするところからスタート。石井先生の話に反応し、生徒の誰かが疑問や感想をつぶやけば、それを拾ってさらに話を転がす。 「コの字の机を歩き回れば、どの生徒とも近距離で話せるので、そうしています。生徒には『よくしゃべる先生』と思われていますが、実は雑談が苦手です。でも、雑談でもいいから生徒に発言してほしいんですよ。だから準備をして『しゃべろうとしている』のが本当のところです」 入学して間もない最初の授業から、グら他の生徒にもポイントを伝えるようにすることで、生徒同士で教え合うムードを高め、苦手な子のサポートを強化した。 音楽鑑賞でもグループワークを積極的に行う。例年取り組むのが『動物の謝肉祭』の鑑賞。ライオン、亀、カンガルーなど動物をモチーフにした曲が続く組曲で、それぞれの曲の題名を伏せたうえで、今流れている曲は何の動物を表したものか、グループで意見を出し合うのだ。 「この鑑賞では『さっきの曲はゾウだったね』というように正解があるといえばあるのですが、曲の感じ方はやはり人によって違うんですよ。『僕はこう思った』『私はこう思った』といろいろな意見が出て、めちゃくちゃ盛り上がります」 そうして音楽の表現や鑑賞をみんなで楽しんでいくと、音楽について意見を出し合うことに、生徒も次第に慣れてくる。 そこで3学期はグループでの自由演奏に挑む。全授業を使い、最後の発表に向けて、全体の構想から練習まで、生徒が自分たちで話し合って作品を仕上げるのだ。 「メンバー構成も、楽曲も、使う楽器も、誰がどのパートをやるかも、全部自由です。何人かで演奏したあとピアノをソロで弾くなど、2回出てもかまいません」 授業が始まると、生徒たちはグループごとに音楽室や音楽準備室に散らばり、話し合いや練習に入る。石井先生はといえば、「周りをうろうろして、意見を求められたときだけアドバイスします」。 「発表の日を迎えると、生徒は一生懸命演奏するのですが、正直このときは演奏の技術はそれほど見ていません。それよりも重視しているのは、発表に至るまでの過程です。音楽に向かう姿勢やチームワークはどうだったか。チームワークが良いと、結果的に演奏も間違いなく良くなるんですけれどね」 チームによっては、話し合いが難航したり、一部の生徒がボーッとしたりすることもある。そんなとき、石井先生は見守ることに努めるそうだ。するとたいてい、生徒同士で壁を乗り越えていく。 「生徒たちは他教科の授業でもグループワークを結構やっているので、このころにはもうそうした活動になじんでいるんです。だから自由演奏の授業が成り立つ、という側面はあるかもしれません。入学当初は重い腰がなかなか上がらない生徒もいますが、気持ちがのってくれば、自分たちで走りだせる子どもたちなので」発言や表現の工夫をみんなで楽しんでいくリコーダーの全体練習でも、石井先生は生徒の机の周りを巡って一人ひとりの状況を確認する。机を二列にしてくっつけているので、隣や前後の生徒同士でも相談しやすい。最初の授業で行うBIRTHDAYリズムアンサンブル。0~9の数字に異なるリズムが割り振られていて、生徒それぞれが自分の生年月日の数字を手拍子で表現し、音を重ねる。授業での雑談。家で飼い出したカメレオンの写真を生徒に見せて回りながら、「名前は〇〇で」「その由来はこうで」「こんなしぐさが可愛くて」と楽しそうに語る石井先生。誰と何をどう演奏するか生徒たち自身で考える授業の実践教育方針は「民主的な社会の形成者として必要な資質の向上をはかり、心身共に健康な教養ある人物の育成につとめる」。2016年度に神奈川県の「インクルーシブ教育実践推進校」に指定され、翌2017年度より、地域の中学校と連携し、その連携校に在籍する知的障がいのある生徒の入学者選抜を実施。障がいのあるなしにかかわらず、「すべての生徒にとって居心地のよい学校・学級づくり」を推し進めている。普通科/1948年創立生徒数(2018年度) 948人(男子448人・女子500人)進路状況(2016年度実績)大学200人・短大38人・専門学校/各種学校65人就職10人・その他41人〒253-0042 神奈川県茅ヶ崎市本村3丁目4番1号 0467-52-2225 http://www.chigasaki-h.pen-kanagawa.ed.jp/552018 JUL. Vol.423

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