キャリアガイダンスVol.423
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 今春、告示された、新「高等学校学習指導要領」には、「資質・能力を育む主体的・対話的で深い学びの実現」、「各学校におけるカリキュラム・マネジメントの確立」など、さまざまなテーマがうたわれています。 そのなかにあって、私が深く共感しているのは、学校教育において主体となるのは生徒だ、という当たり前のことが強調されている点です。 例えば、第一章総則の第一款の1。片方だけ読むと気付かないのですが、現行学習指導要領との対照表を使って比べると、順序に違いのあることがわかります(図1)。内容としては同じことを言っているのですが、「生徒」をいちばん前にもってきているのです。細かいことかもしれませんが、これは明らかに意図した変更であり、こうしたところからも、生徒に視点を置くことを強く意識した学習指導要領なのだと感じています。 さて、今回新たに「前文」が設けられたのですが、その前半部に、「一人一人の生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに」という文言があります。ここでも、「一人一人の生徒が」と、生徒を主体としているわけですが、ここで注目したいのは「自分のよさや可能性を認識する」という部分です。本来、若者は可能性にあふれているはずなのに、彼・彼女らが自分のよさや可能性を認識できているかというと、そうとは言えない調査結果が多く出ていることはご承知の通りです。国際比較でも、米中韓に比べ、日本の生徒は、「自分には人並みの能力がある」という思いをもつ割合が低く、「自らの参加により社会現象が変えられるかもしれない」という意識も低い(※)。いわゆる自己肯定感の低さの表れです。 学習意欲に関係する項目も然り。知識や思考力といった後天的に得られ取材・文/堀水潤一 撮影/平山 諭多面的・多角的な評価や、幼稚園から社会まで学びをつなぐことの重要性が増すなか、「ポートフォリオ」の果たす役割とは何か。中央教育審議会初等中等教育分科会や児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ等の委員を務める荒瀬克己教授に、高大接続改革や学習指導要領改訂における議論の原点に立ち戻りながら、お話を伺いました。高大接続改革、新学習指導要領の視点で見る学習者中心の評価とポートフォリオの役割大谷大学 教授中央教育審議会 初等中等教育分科会委員荒瀬克己あらせ・かつみ●1953年生まれ。京都市立堀川高校校長、京都市教育委員会教育企画監等を経て、2014年4月より大谷大学文学部教授。05年以降、中央教育審議会初等中等教育分科会、教育課程部会、キャリア教育・職業教育特別部会、高等学校教育部会、高大接続特別部会、教育課程企画特別部会、高大接続システム改革会議等の委員を歴任。福井大学教職大学院客員教授ほか役職多数。自己肯定感や学習意欲の低さは評価が原因ではないか82018 JUL. Vol.423

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