キャリアガイダンスVol.423 別冊
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3Vol.423 別冊付録自ら変革を起こすルールブレイカー指示に従って適切に行動できる相手のニーズをくみ取り、自ら行動を起こせる指示をされても適切に行動できないこの2つが〝主体的〞と評価される教育によって伸ばせる領域個人の資質に負うところが大きい 大手旅行会社である株式会社JTBが求める主体性とはどのようなものだろうか。 「当社は販売するモノを何ももっていない会社です。お客様が何を求めているのかをキャッチする力も必要ですし、キャッチしたものを企画する力も必要。さらに企画したものをお客様に提案し、交渉する力も必要。これらを包含して、では、どういう社員が必要なのかと考え、その人物像を『自律創造型社員』という言葉で表しています。高い専門性をベースに成果を生み出すことに意欲的に取り組み、上記のすべての局面で自律的・主体的に行動ができる人、常に主体的に自己成長できる人というのがその定義。ただし、これらを完璧に身に付けていたらスーパーマンです。基本的には、入社後の研修プログラム等を通してみんな成長していきます。私たち社員も常に『自律創造型社員』であるかどうかを問われ続けているのです。新卒採用する学生にこれらを完璧に求めているわけではありません。大切なのは、この考え方に共感していただけるかどうかです」(人事部人事担当マネージャー/小田亜希子氏) そのうえで、同社が新卒採用時に見るポイントの一つは「自分の言葉で語れるかどうか」だという。それを測る材料の一つとして、同社では、応募者に自己PR動画の提出を求める。 動画を提出するというゴールは決まっているが、そこまでにどのような道筋をたどるかはその人次第。決して正解があるわけではない。自分で考え、自分の言葉で語り、自分なりの表現ができるかどうか。これが、入社後、成長していくために必要な主体性を見る一つの要素となっている。 では、急成長するIT企業ではどのような主体性が必要とされているのだろう。ビジネスチャット「チャットワーク」で注目されるChatWork株式会社に聞いてみよう。 「IT業界は目まぐるしく市場環境が変化するので、その変化を受け入れ、適応し、柔軟に対応できるスキルが必要となります。そのような環境下で、自分が今何をすべきかを考える段階から必要となるのが『主体性』です。自ら課題を見つけ、分析し、それを改善していける思考性と行動力がある人を求めているため、当社では『主体性を持ち、自ら行動できる』人を求める人物像との指示待ちタイプに対して、自ら行動できるA、Bをまとめて「主体的」と表現することも多い。しかし、実際には、AとBでは、企業の業種や経営方針、経営状況などによって、どちらが必要とされるかは分かれてくると曽和氏は指摘する。 「すでにビジネスの勝ちパターンがある企業は、主に適応力に優れたBのタイプを求める傾向があります。一方、勝ちパターンがなく、新たに勝ちパターンを生み出す必要がある企業はAのタイプを必要とすることが多いですね。また、同一の企業でも、大胆な改革が必要な時期はAを求め、比較的経営が安定している時期にはBを求めるという傾向もあります」 A、Bにはそれぞれにニーズがある。ただし、曽和氏によれば、Aはあくまで少数派。数が求められるのはBだという。 「ルールブレイカーばかりでは組織が成り立ちませんから、いても少数でいいという企業も多い。ただし、日本の産業界は高度成長期やバブル期と比べれば、混迷の度合いを深めているため、ルールブレイカー的な主体性が求められる割合が増えているのは確かです。この傾向が誤解を生み、今は主にルールブレイカーが求められているという大雑把な議論がされることも少なくありません。しかし、実際にはそんなことはないのです」 曽和氏によれば、Aは個人の資質に負うところが大きく、教育による育成は難しい。例えば、CのようなタイプをAに育てようとしても無理が生じやすい。それよりも、CをBに育てることが教育に求められる役割だという。 主体性という言葉が示す概念を大まかに整理したところで、次に、実際に企業はどのような主体性を求めているのか、主体性をどのように定義しているのか、3つの企業の人事担当者に話を聞いてみよう。企業が求める“主体性”のイメージ(人材研究所 曽和氏による)図2企業が求める“主体性”CASE1株式会社JTB主体的に行動し、自己成長する「自律創造型社員」であることを求めるChatWork株式会社自ら課題を見つけ、分析し、改善する思考性と行動力がある人企業が求める“主体性”CASE2

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