キャリアガイダンスVol.423 別冊
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4Vol.423 別冊付録して掲げています。課題は日々の業務の中にいくつもあります。それを自ら見出し、その課題を解決するための会議を設定したり、情報交換会を実施したり、当社では、主体性はあらゆる面で必要になってきますね。待っているだけでは主体性をもっている意味はありません。主体性を発揮するには、日々自らの意志で動こうと考えることが大切です」(コーポレートサポート本部本部長/西尾知一氏) 同社では、日々の行動原理の中心に主体性を位置づけている。主体的に考えるだけでは課題は解決できない。行動力とセットになって初めて主体的であることが意味をもつ。そのため、同社では、面接の際には、過去の経験や実績の中から、トラブルに直面したときにどのように対応したかなどを聞くほか、1次面接通過後の「1日体験入社」で、1日ChatWorkの社員として過ごしてもらうなかで、応募者の思考性や行動を見て主体性があるかどうかを判断しているという。 次に、兵庫・大阪エリアで不動産に関わるワンストップサービスを展開する株式会社ウィルのケースを見てみよう。 「先行きが不透明な現代社会において、ビジネスの世界における変化のスピードは加速し続けています。主体的でないということは、そういった社会の変化に対応しにくい人材であるととらえられてしまいます。上司の指示に従属的であるだけでは、高い成果は得られません。当社では、『会社の変化・成長のために、社員が変化・成長する』のではなく、『社員の変化・成長が、会社の利益になる』という考え方が根本にあります。社員一人ひとりが自身の仕事にプライドをもち、主体的に仕事に向き合うことこそが、人材の成長につながると実感しています」(人材開発チーム/平田敏樹氏) 同社では、社員個人の主体性こそが会社の変化や成長を牽引するものと位置づけられている。では、同社で求められる主体性とはどのようなものだろうか。 「主体性とは、目的を理解したうえで、自身のアイデンティティをもち、自らの意志で実行していける性質を指すと考えています。『主体性の発揮』と『わがままな行動』は、似ていて非なるものです。目的を理解せずに反抗する、放棄するのはただのわがままになります。そのような行動は主体的だとはいえません。企業のルール、企業内にある決められた業務には一つひとつ目的が存在します。当然ルールは世の中の変化に応じて変えていくため、不変のものではありません。その目的を理解したうえで、自らの意志・目的をもって業務に当たり、ときには目的を踏まえたうえでの改善提案がある。それが主体性をもった行動だと考えています」(平田氏)* このように、企業はそれぞれの言葉で主体性を定義しているが、一方で共通する要素も見えてくる。 その一つが、主体性を日々の行動やビジネスパーソンとしての成長とセットでとらえているということだ。つまり、主体性は内面的な能力として単体で評価されるものではなく、目に見える行動や成長を通して評価される。 では、主体的に行動するとはどういうことか。誰かに課題を与えられてから行動するのでは、もうその行動は主体的とはいえない。 3社とも、自ら課題を発見し、それを解決するために自ら行動することを指して、「主体的」と語っている。つまり、主体性の表側には行動があり、その裏側には課題発見力があるということができそうだ。 仕事とは何らかの課題を解決することである。特に、市場や環境が速いスピードで変化する現代のビジネス社会では、経営陣だけではなく、現場の社員も数多くの新たな課題に遭遇し、それらを自力で解決することを求められる局面が多くなっている。このように、何か問題が起きたり、うまくいかなかったりしたときに、そこにどんな課題があるのかを探し出し、解決のために行動することが、企業が求める主体性の主要な一類型といってもいいだろう。 すでに述べたように主体性という言葉の定義は人によってさまざまだ。しかし、ここで3つの企業のコメントから明らかになってきたように、自ら課題を発見し、行動することが、企業が共通して求める傾向がある主体性だと定義するなら、その力は非常に総合的なものだ。 自分の中にある課題を発見するには内省する力が求められるし、相手が抱える課題を発見するなら深いコミュニケーション力が求められる。また、自分が所属する集団や社会の課題を発見するには多角的で幅広い視野も求められるだろう。 このように企業が求める主体性を因数分解していくと、その起点には「知る」というプロセスがあることがわかる。自分を知る、相手を知る、社会を知る──、それこそが、主体性を育むための第一歩となる。 そのため、高校・大学などの教育現場で生徒・学生の主体性を伸ばそうとするなら、知識や技能だけではなく、人や社会、ものごとの本質やリアルを「知る」機会を数多く提供すること、より深く「知る」ための方法を教えることも大切なアプローチの一つとなるのではないだろうか。そのなかで、知る、考える、行動するというサイクルが生まれたとき、生徒・学生の主体性は少しずつ本物に近づいていくのだろう。株式会社ウィル社員個人の主体性こそが会社の変化や成長を牽引する企業が求める“主体性”CASE3

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