キャリアガイダンスVol.424
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本気で考えざるを得ない問題、心、動かされるイシューがカギストマイニング」や、複数の書籍・新聞の記述の異同を明確にするといった中間処理が欠かせません。 そして、「まとめ・表現」。他者からの意見や質問、自分自身の振り返りが、新たな問題意識を生み、次のプロセスへと導きます。必ずしもきれいなスパイラルを描く必要はないですが、これを繰り返すことで、課題の質や解決の手法などが向上。探究のプロセスが高度化していくわけです。 こうした学習によって、社会で課題を前にしても、場面に応じて必要なディシプリンを組み合わせながら、解決していけるようになるでしょう。 学びを教科学習の中だけに囲い込むところから脱し、教育課程全体を通して、必要な資質・能力を育てる。それが今回の改訂の目指すところであり、そのコアとなるのが総合的な探究の時間です。ですから探究は、SSHやSGHに代表される一部の高校の少し高度な学習ではありません。 多様な生徒が集まる高校においても、関心のありそうな話題を投げかけると、真剣に答えてくれることは多いもの。それがクローン技術による倫理的、哲学的な問題だとしても、進わけです。まさに「生きて働く知識・技能の習得」です。 問題解決的な学習が発展的に繰り返される探究では、「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」というプロセスをたどります。 まず、生徒自ら課題を設定するに当たり、教員の関わりが重要なのは言うまでもありません。それが本当に、その生徒が考えを深めていくのに適当な課題なのか。単なる調べ学習に終わらないためにも、「あなたにとって、それは何が問題か?」「どうすれば解決できると思っている?」と繰り返し問うことが有効です。 集めた情報は、課題に応じて整理・分析します。自由記述式のアンケートを集めたならば、特定の単語がどのくらい使われているか集計する「テキ及び技能を身に付け、課題に関わる概念を形成し、探究の意義や価値を理解するようにする」です。 ただ、「概念を形成し」という表現が少々難しい。ここで言う概念とは、知識と知識が関連付けられて構造化されたもの。それにより物事に対する理解が深まったり、思考の枠組みが更新されたりすることです。私個人としては、各教科等で学んだ知識と知識が関係付けられず、点在して記憶された状態に対するアンチテーゼと捉えています。断片的な知識では、「何年に何が起きたか?」といった穴埋め問題には正解するかもしれないけれど、知識の中核あるいは周辺部まで含めて他者に説明することは難しい。そうではなく、「なぜこうした事象が起こり、なぜこうなったか。それは歴史的、あるいは現代的な文脈ではどういうことなのか」まで理解し、別の場面でも生かせるようになってほしい学校の生徒と考えていることは、そう変わりません。確かに、語彙や知識量に多少の差はありますが、時おり本質を突く点は同じです。 ですからカギは、本気で考えないといけないような身近な問題や、心を動かされそうなイシューをテーマとして選ぶよう、うまく導くこと。そこを起点にプロセスを回していけば、自分なりに思考し、意見をもつようになるはずです。それが自己効力感を高め、自律的な学びを促し、教科学習にも反映されるようになる。さらに、学びが自分の生き方につながっていることに気付き、社会で力を発揮する。探究の学習には、そんな願いが込められていると思っています。4つのプロセスを発展的に回す探究のスパイラル探究は誰にも等しく求められるこれからの社会で欠かせない学習

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