キャリアガイダンスVol.424
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 金沢泉丘高校は、普通科と理数科からなる学校だ。2003年度より理数科がSSHに指定されている。また、2015年度から普通科がSGHの指定を受けている。 そのSGHの指定を目指して、学校として何に取り組むか構想していた2010年代前半の頃のことだ。同校はまず、「どんな生徒を育てたいか」というビジョンを思い描き、そこに向かううえでの課題を分析することから始めたという。SGH推進室主任の石尾和彦先生はこう振り返る。 「ビジョンの検討段階では、『生徒に高い志は必要か』という議論もありました。そこを経て、やはり『この世界をより良くすることに貢献できるリーダーを育てたい』という方針になったのですね。そのビジョンに対して現状はどうか。本校は各界のリーダーを輩出しているものの、グローバルに活躍するための国際的な視野や多面的なものの考え方まで十分育めているとは言えません。また、出題された問いの正解を答えることに慣れた生徒たちは、自ら課題を見出し、解決に向けて探究する姿勢が足りないと感じました。ではそうした力を伸ばすにはどんな学習が必要か。目指す人材像から逆算して、カリキュラムを設計していったのです」 SGHの指定を受けたあと、普通科が打ち出したスローガンは「多面的に考え、多角的に行動する力を持ったグローバル・リーダーの育成」。 これに対して理数科も、SSH4期目となる2016年度から「高い志をもち、未来を切り拓く国際的な科学技術系人材の持続的育成」という目標を掲げる。 そうした双方のビジョン実現のために、カリキュラムの柱に据えたのが、探究活動だった(図1参照)。 同校の探究活動の特徴のひとつは、これからどんな力を伸ばしてほしいのかを、1年生の4月の時点で生徒にルーブリックで示していることだ。 例えば、理数科の生徒へのSSHのルーブリックは、図2のような将来像まで見通せるビジョン・長期ルーブリックと、個々の活動を確認するための短期取材・文/松井大助1893年創立/普通科・理数科/生徒数1195人(男子674人・女子521人)/進路状況(2017年度実績)大学265人、その他129人学校データ「SG探究」や「AI課題研究」などの探究活動には、総合的な学習の時間を活用。「SG思考基礎」「CS学際科学」などは学校設定科目の授業。「SG」はスーパーグローバル、「NS」はニュースーパー、「SS」はスーパーサイエンス、「AI」はアドバンスト・インテリジェンス、「CS」はコスモサイエンスの略。SGH・SSH事業では探究活動のなかで生徒が英語も使えるよう、英語運用能力を高める授業として「グローバルイングリッシュ」「サイエンスイングリッシュ」も展開。探究を通じて、生徒の資質・能力をどう伸ばそうとしているか探究活動 実践事例レポート図1 金沢泉丘高校の探究活動の概要3年2年1年普通科(SGコース/文型/理型)理数科(SSH)SG探究SG探究活用(生徒が協働で課題の設定、情報収集、整理・分析、発信に挑む)NS探究αNS探究β(SGコースのプログラムに準じた探究活動)SS課題研究ⅠSS課題研究Ⅱ(SSHのプログラムに準じた探究活動)AI課題研究Ⅰ(先行研究の調査を通して科学的な見方や議論の手法を身につける)AI課題研究ⅡAI課題研究Ⅲ(生徒が協働で課題の設定、調査・実験、分析・検証、発信に挑む)CS実験科学(数理融合で計測・実験)CS人間科学(生物・家庭・保健・現代社会融合で人間の生命と科学の在り方を考える)CS学際科学(教科横断で宇宙や脳など最先端科学を学ぶ)SG探究基礎(地域課題の研究を通して、言語活動、ICT活用、統計処理・解析の手法などを学ぶ)SG思考基礎(理科、地歴・公民、情報のT.Tのもと社会課題〈SDGsなど〉を多角的な視点で学習)SG文型理型探究活動裾野を広げる副校長正村泉一先生SGH推進室 主任石尾和彦先生SSH推進室 主任板坂純理先生SSH推進室(昨年度まで)前田 学先生SGH推進室吉田啓悟先生思い描いたビジョンから逆算してカリキュラムを設計探究活動で何を伸ばすか生徒に事前に明示「教科横断」の裾野を広げる授業と「本物の場面」のある探究で高い志と行動力をもつ人材を育成金沢泉丘高校(石川・県立)142018 OCT. Vol.424

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