キャリアガイダンスVol.424
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ルーブリックの3種類で構成される。その作成に携わった前田 学先生は狙いを次のように語る。 「教師が生徒を評価するためのものではなく、生徒が自らの学習の指針に活用できるルーブリックを作ろうと考えました。ビジョン・長期ルーブリックには、高校3年生の水準にとどめず、その先のレベルまで青天井で示しました。『探究活動はここまでやればOKというものじゃなく、どこまでも伸びていいんだよ』というメッセージを込めたかったからです」 そのビジョン・ルーブリックでは、「主体的に課題を設定」できるようになることも目標のひとつに置いている。そして金沢泉丘高校では、生徒全員がそのレベルに到達できるよう、カリキュラムに仕掛けも施している。副校長の正村泉一先生の言葉を借りるなら、「生徒の思考に広がりをもたせる」ことを狙った、教科横断型の授業を1年生に導入しているのだ。 「いきなり課題研究をしましょうと促しても、やりたいことがまだ浮かばない生徒もいます。自分なりの課題を発見するための素地として、生徒の思考の裾野を広げることも大事だと考えたのです」(正村先生) 普通科の1年生にとってその役割を果たすのが学校設定科目「SG思考基礎」だ。理科・地歴・公民・情報の先生のT・Tのもと、SDGs(持続可能な開発目標)などを学ぶ。SGH推進室の吉田啓悟先生は、この授業に多くの可能性を感じているという。 「生徒がさまざまな地球規模の課題にふれることができますし、面白いのは、例えば温暖化というテーマひとつとっても、社会が専門の私と、一緒に授業をする理科の先生とでは、課題へのアプローチの仕方が違うので、生徒に話せることも違ってくることなんです。そうした各教科の差異も生かして、生徒の考え方を広げ、多面的な視点を育めたらと思います」 理数科の1年生は、学校設定科目「CS学際科学」でさまざまな理数系科目の知見をもとに宇宙や脳科学などの最先端科学にふれる。また、「CS人間科学」で、生物・家庭・保健・現代社会の各教科の観点を生かして生命や科学の在り方を考える。SSH推進室主任の板坂純理先生は、「こうした授業で興味の幅を広げたことが、生徒たちのその後の課題研究に生きてくる」と感じているそうだ。 2年生になると、普通科・理数科ともいよいよ探究活動へ。生徒同士でグループを組み、自分たちで課題を設定し、研究を進める。この段階で重視するのは「pesudo(擬似)ではない、authentic(本物)の探究まで行う」(正村先生)ことだという。 予定調和ではない、と言えばいいだろうか。例えば普通科の「SG探究」「NS探究」では、自分たちの課題を掘り下げるために、外に出かけ、どんな反応がくるかわからないフィールドワークを行う。理数科の「AI課題研究」や普通科理型の「SS課題研究」では、自分たちで考えた研究テーマに基づき、やり方も自ら考え結果も予想通りになるかわからない実験を計画し実行する。 また、図3はSGHの例だが、自分たちの研究課題や進捗を対外的に発表し、率直な疑問や意見をもらっては柔軟に対応することも何度も行う。さらに外部のコンテストや研究大会への参図2 SSHのビジョン・長期ルーブリック図3 SGH課題研究の対外発表の機会理数科(SSH)の1年生に4月に提示するビジョン・長期ルーブリック。何を目指して活動するかを、イラストと探究・思考・行動の3つの観点で明示。このほかにポスター発表など個別の活動時に提示する短期ルーブリックがある。※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.424)2年生6月訪問研修京都大学大学院を訪問し、院生から研究テーマ設定や研究計画について助言を得る2年生10月海外研修プリンストンで現地の高校生に英語で発表、現地の大学生に日本語で発表、意見交換2年生11月中間発表金沢大学の院生を招いて発表、意見交換2年生1月SSH・SGH研究発表会中学校・高校の先生、大学教授、大学院留学生、保護者などを招いて発表、意見交換3年生7月成果発表会東京外国語大学・金沢大学の留学生ほか全国の教育関係者を招いて、英語で発表、意見交換フィールドワーク。外部とやり取りするためのマナーは、失礼のないようガイドラインも作ってレクチャー。しかし現場でどんな反応がくるかはいつだって未知数。海外の高校生へのプレゼン。準備したメモだけでは通用しないと実感し、その場で焦りながら対応した経験が、何よりもその後の学習意欲や自信に結びつくそうだ。CS実験科学の授業の1コマ。ここで計測・実験手法の基礎を学んだうえで、課題研究では、自分の研究テーマについて実験のやり方を構想し、試していく。教科横断の授業で生徒の思考の裾野を広げる擬似ではない本物の情報収集や議論の場を探究で育む生徒の資質・能力金沢泉丘高校 (石川・県立)Report 1152018 OCT. Vol.424

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