キャリアガイダンスVol.424
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院大学の先生方と留学生に向けて中間発表をするのですが、たくさん突っ込まれてダメ出しもされるんですね(笑)。でもそこで悔しい思いをしたから頑張ろうとする生徒が多いですし、うまくいかなくても『留学生と質疑応答で本気で渡り合った』ことが、生徒の自信にもなっていくんです」(板坂先生) 正村先生は、探究活動の推進において大事だと思うことをこう語る。 「『探究活動をいかにうまくやるか』ももちろん大切ですが、『教育全体のなかで探究活動をどう位置づけるか』から考えることだと思います。方向性としては『生徒の学びや関心を、学校の外のauthenticな世界と結びつける機会』にしていけるとよいのではないでしょうか。学校で学んだことや考えたことが、本物の世界で通用した、探究活動で生徒がそう実感できたとき、もっと高みを目指して学ぼうとする新たな意欲が育つと思うのです」加も先生たちが後押しする。 「フィールドワークや発表をするにあたっては、外部とやり取りするためのマナーの部分は事前にきちんと教えます。ですが、生徒の活動がうまくいくようにするためのフォローは特にしていません。むしろ、いろいろな失敗体験をさせてあげたいな、と。調査や発表がうまくいかなくても周囲から意見をもらって修正していく。そんなしなやかな対応力を磨いてほしいからです」(石尾先生) 「SSHでは理数科2年生が7月に、1、3年生や北陸先端科学技術大学 探究活動を柱とするカリキュラムは、高大接続など今後の課題も見据えて、年度ごとのプロジェクトチームで今なお改良中だ(図4参照)。 これまでの成果も現れている。SGHの活動を始めた2015年度以降、普通科の生徒のあいだでは、対外的なやり取りをすることへの自信が確実に深まった(図5参照)。 また、社会問題に関心がある生徒の割合は約55%から70%強に上がり、その水準で維持されるように。しかも受験を控えた3年生のほうが1、2年生より関心が高まっていた。 「希望的観測ですが、社会問題への関心が受験勉強を頑張るモチベーションになってきたのかな、と期待しています。『こんな社会問題を解決したい。そのために大学でこんな研究をしたい。そのためにこの教科の勉強も頑張ろう』と」(石尾先生) 今後、石尾先生としては、部活動や行事も頑張る生徒が多忙になりすぎないよう、「探究活動を基本授業の枠内に収める」ことを意識しつつ、他方で探究心に火がついた生徒をさらに一押ししていきたいそうだ。 「社会課題を懸命に考えて発表もした、でもそれで終わり?と。生徒のなかにもそんな声があるんですよ。探究したことをもとに、高校生が社会を変えるアクションまで起こせたら面白いですよね」(石尾先生) 近い将来、それは現実になるかもしれない。例えば同校の物理部の生徒は、斬新な針葉樹型太陽電池の研究で注目されるようになった。すると未知の研究をしたい生徒が理数科・普通科問わず続々集まり、物理部は大発展。さらにその物理部の活動を新聞部や放送部が取材して発信、その作品が賞を取るなど、生徒が自分たちでうねりを起こしはじめたのだ。 それをそばで見てきた前田先生としては、この世界の山積みの課題を「大人が解決できなかっただけで、今の子たちはきっと新しい発想で乗り越えていく」と捉えていきたいそうだ。 「『大人ができていないことを、自分たちがやるんだ』と。生徒たちがそんな気概をもって探究活動に挑めるような空気を醸成していきたいです」図4 SGHや探究のプロジェクトチームの変遷図5 外部機関に連絡交渉できるか・W1 SGコース編成、生徒・保護者説明・W2 課題研究、国内外研修・W3 各種講演会・W4 「プラクティカル・イングリッシュ」・W5 SG数学・W6 評価方法・生徒の変容2015年度SGHプロジェクトチーム・W1 「SG思考基礎」検証・W2 「SG探究基礎」検証・W3 実践的英語力向上・W4 進路指導との接続研究2016年度SGHプロジェクトチーム・W1 「高大接続」研究・W2 実践的英語力向上の研究・W3 「探究的学習のあり方」研究・W4 ジェネリックスキル育成の研究・W5 海外研修の検討2017年度教育改革研究プロジェクトチーム・W1 「高大接続」研究・W2 「英語検定試験」研究・W3 「ポストSGH」研究・W4 「探究活動と評価」研究2018年度教育改革推進プロジェクトチーム2015年7月12月2016年7月12月2017年7月12月33.1%(生徒アンケート結果、3年間の推移:全学年)54.0%60.4%34.8%64.2%62.7%とてもできるできる大人の未解決課題を生徒が乗り越えていく探究設計へのヒント探究に必要な力を伸ばせるようにビジョン・長期・短期の3種類のルーブリックで学びを可視化1生徒が自分で課題を見出せるように教科横断の講義や課題研究で興味の裾野を広げ、多角的視点も養う2探究の質を高めていけるように対外的な場で失敗もしながら自分たちの考えを磨く機会を多数創出3SGHや探究の体制を整えるにあたり、金沢泉丘高校では年度ごとの検討課題をもとに4~6のプロジェクトチームを立ち上げている。SGHのプログラムづくりでは、異なる教科の先生たちでグループを組み、先生たち自身がまず課題研究にチャレンジ、やってみると何が難しいか、そこを補うにはどんな仕掛けが必要か考えたという。162018 OCT. Vol.424

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