キャリアガイダンスVol.424
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 一般に、機械を製作するとき、一つひとつの部品を精緻に作り、それを組み立てていきます。一つひとつのピースをうまく組み合わせることで、完成品につなげるという発想です。 人間もこうした機械論的な要素還元主義に基づいて完成するのでしょうか。「この授業ではこの知識を教え、この活動ではこの技能を伝え」と、個別に最良の教育さえすれば、結果、期待される人材に成長するかといえば、必ずしもそんなことはありません。人が育つとは、もっといろいろなことが複雑に関わり、影響し合う、ホリスティックなものだからです。 そう考えれば、国語での学びは国語だけで閉じるのではなく、他教科にも影響を与え、逆に、他教科で学んだこともさまざまな教科に生かされながら、一人の学び手の資質・能力をトータルに育んでいくわけです。 その点、今回の学習指導要領の改訂において、各教科で育成を目指す力をすべて、資質・能力の3つの柱、すなわち、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」で整理した意義は少なくありません。「この教科と、この教科の知識は関係があるな」とか、「ここで身に付けた表現力は、あそこでも発揮できる」など、各教科はバラバラに存在するのではないことが、誰の目にもわかりやすく示されているからです。 もう一点、今回の改訂で注目すべき点があります。カリキュラム・マネジメント、とりわけ教育課程の編成=カリキュラム・デザイン(後述)の中核となる教科として、総合的な探究の時間(以下、「総合」と表記)が明記されている点です。 改めて、新高等学校学習指導要領の「総則」を見てみましょう(図1)。その第2款「教育課程の編成」の1にはこう書かれています。「教育課程の編成に当たっては(略)その際、第4章國學院大學人間開発学部初等教育学科 教授田村 学たむら・まなぶ●1962年生まれ。新潟大学教育学部卒業後、上越市立大手町小学校教員、上越教育大学附属小学校教員、新潟県柏崎市教育委員会指導主事などを経て、2005年に文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官(国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官を併任)。15年文部科学省初等中等教育局視学官として新学習指導要領作成に携わる。17年4月より現職。カリキュラム・マネジメントの中核としての総合的な探究の時間文部科学省の教科調査官や視学官を歴任し、昨年度より國學院大學で教鞭をとる田村 学教授。学校教育目標との関連や各教科との連携など、高校の教育課程における「総合的な探究の時間」の位置付けについて、カリキュラム・マネジメントの視点から伺いました。新高等学校学習指導要領における総合的な探究の時間の位置付け取材・文/堀水潤一 撮影/西山俊哉262018 OCT. Vol.424

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