キャリアガイダンスVol.424
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資質・能力が、授業の1コマにまで落とし込みやすくなります。逆に言えば、授業の評価が単元計画の改善につながり、単元配列表や全体計画の見直しに結びつくという連動したカリキュラム・デザインが可能になるわけです。 ただし、少し現実的な話になりますが、ここで気を付けたいのが、「知・徳・体」のような各学校における教育目標の扱い。こうした目標は、育成すべき資質・能力の3つの柱にうまく当てはまらないことも多く、単元配列表にも落としにくい。その場合、教育目標の下に「育成すべき生徒像」などの短期目標を立て、3つの柱として自覚的に整理することで単元配列表になじむと思います。 同様に、論理的思考力、プレゼンテーション力、社会参画力など、各校が独自に設定する育成したい汎用的な能力があるとします。これらも3つの柱にブレイクダウンすると、どの教科のどの単元で育てるべきかが明確になるでしょう。 教科の専門性が強い高校で単元配列表が作られることは少なかったと思います。実際、数年前の全国指導主事会議でこれを求めたところ、多数持参された小学校と比べ、高校では一枚も集まりませんでした。ただ、こするとはどういうことか。重要なのは、いかにカリキュラムをデザインしていくかです。 そこで、作成していただきたいのが学校の全体計画(グランドデザイン)と各教科の単元計画を結ぶ「単元配列表」です。各教科の年間指導計画を簡易的に一枚のシートにまとめたものと考えていただければいいでしょう。各教科で行われる一つひとつの単元が、年間を通じてどのように配列され、他教科とどう関連しているかを俯瞰できるようにした、いわば「学びの地図」です(編集部注・32ページの実例を参照)。 その表の例えば真ん中に総合を置き、「数学のここで学んだ統計が、総合の情報処理で使えそう」とか、「国語のここで身に付けた表現様式が、小論文で役立つだろう」というように、各教科と関連付け、さらに、育成を目指す資質・能力の3つの柱について、どのようなつながりがあるかを考える。そうすることで、学びがより豊かなものに見えてくるはずです。 しかも、これにより、全体計画(グランドデザイン)↓単元配列表↓単元計画とつながり、育てたいりますが、実際には、教科書通り、あるいは既存の指導計画通りに行われてきた学校が少なくないのではないでしょうか。育てたい生徒像を明確にし、現場の実態に合わせて独自にカリキュラムを「デザイン」していくことが、今、強く求められているのです。 もう一つ、カリキュラム・マネジメントというと、どうしても管理職やリーダー職の仕事というイメージがありました。にもかかわらず、今回、教員全員の関わりが求められ、現場からは何をすればいいかわかりにくいという意見も聞こえてきます。日々の授業を舞台としている先生方にとって、カリキュラム・マネジメントを自分事化図2 カリキュラム・デザインの全体イメージ1. カリキュラム・デザイン各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で、目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列する。2. PDCAサイクル教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成・実施・評価して改善する。3. 内外リソースの活用教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせる。カリキュラム・マネジメントの3つの側面カリキュラム・デザインの3つの階層具体的な「授業デザイン」ヘ全体計画の作成教育目標を踏まえ、つなぐ、グランドデザインを描く。単元配列表の作成全単元が1年間でどのように実施されるのかを俯瞰し関連付ける。単元計画の作成学びの文脈を大切にした単元を計画する。※田村教授資料および『カリキュラム・マネジメント入門』(P37参照)を基に作成 教え手主体から学習者主体へ。暗記・再生から探究モードへ282018 OCT. Vol.424

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