キャリアガイダンスVol.424
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は、個々の人生の豊かさはもちろん、社会の豊かさにもつながります。 一方で、変化に対応するという、いわば受け身の姿勢ではなく、変化自体を創り出すという考え方も必要です。ニーズに応えるだけではなく、社会をより良く、自分たちにふさわしいものにアップデートしていく。そういう「主体者」としての自覚や志をもって成長してほしいと思います。 学習指導要領にはことさら明記されてはいませんが、今回の改訂の根底に流れているのは、「学び手の視点」に立つという思想です。教育現場において学習者が主体であることは、本来は当たり前のことなのでしょうが、チョーク&トークと言われてきたように、これまでどうしても教え手主体であり、「何を教えたか」が問われてきました。でも、今回、大きく舵が切られたわけです。主体的・対話的で深い学びも、探究のプロセスも、学び手の学びをいかに充実させるかという話。それなしでは資質・能力は育ちません。もちろん、引き続き習得も大切です。しかし、「習得、定着オンリー」「暗記、再生しておけば良い」だけでは、学び手はパッシブのまま。「探究モード」へシフトするタイミングは今しかありません。の時「なかったので、自分で作成しました」という方がいて、「こんなにも各教科がつながっていたとは。それらの関係性が見えてきました」と発言されたことが印象的でした。 学習指導要領の改訂や高大接続改革などの動きの中で、多くの先生方は「今まで通りではいけない」とは思っているでしょう。ただ、実際に動くとなるとなかなか難しい。そんななか、トップリーダーが力強く方向を指し示せるかどうかは学校の行く末を大きく左右します。 もっとも、総合における探究の充実にしろ何にしろ、それを具現化するのはミドルリーダーであり、そこを核とした推進チームの存在です。一体感を生みだしにくい土壌もあるなか、トップの役割は、いかにミドルリーダーを孤立させず、疲弊させず、チームが機能する状況を保つか。そのためには、校内での位置付けや人材の配置を明確にし、時間的・予算的なことも含め、一定程度の権限を与えること。ICT機器の充実や使用教室の割り当てといった環境整備や、体験活動の重視に伴う授業時数の確保や弾力的な運用なども含まれます。 こうした権限を付与することは、トップの決意表明にも似た効果を生むはずです。そうやって機能しだしたチームを中心に、研修の場や授業公開の機会も作られるだろうし、メンバーを通じて学年会などにも落とし込まれていくでしょう。 このような取り組みの積み重ねが、結果として学校文化を作ることにもつながると思います。これまでスクール・アイデンティティーとして、行事やクラブ活動に力を入れ、特色を出していこうとする傾向もありました。それ自体を否定はしませんが、本来、学校文化は日常の学びとリンクしているべき。「本校はこういうカリキュラムを用意し、こういう力の育成を目指しています」など、生徒の学びが中心にあるべきですし、それこそが学校の独自性だと思います。 社会は変化しています。例えば、地方創生、地域活性化という流れの中で、地域社会をどうつくっていくかというとき、探究学習を通じて身に付く、正解のない問いに対して自分なりに考えを深め、本質を見極めようとする力は欠かせません。変化する社会の中で力を存分に発揮すること組織マネジメントのカギを握るミドルリーダーに権限を学び手の視点に立った探究モードへのシフト変化に対応するだけではなく、変化を創り出すためにカリキュラム・マネジメントの中核としての総合的な探究の時間田村 学 (國學院大學人間開発学部 教授)Interview 3

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