キャリアガイダンスVol.424
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 私は4年前から、インドネシアのカポポサン島産のココナッツオイルを日本に輸入し、販売するというフェアトレードに取り組んでいます。なぜ私がフェアトレードに興味をもったのか。高校時代から将来は困っている人を支援したり、世の中をよりよくしたいと思っていました。でも具体的に何をすればいいかはわからず、大学に進んでもそのための勉強ができるとは思えなかったし、いろんな世界を見てみたいという思いもあり、カナダに語学留学しました。 帰国後は2年間、スペインバーでバーテンダーとして働いた後、フェアトレードポリシーのショップカフェ「Love’s Gallery」を神戸に開店。お店では私自身が途上国で買い付けた雑貨品の販売と、フェアトレードのマークのついたコーヒーを提供していました。でも、ある日、NGOの人から、その商品の原材料や生産工程まで把握していなかったらフェアトレードとは呼べないことを気付かされ、自分のお店のあり方に疑問を抱きました。同じ時期に、東日本大震災が発生して、資金と支援物資をかき集めて被災地に何度かボランティアに通いました。でも自分のお店の方の経営が逼迫。結局自己犠牲による支援は長続きせず、自己満足で終わることを痛感しました。この2つの出来事で、今後は真のフェアトレードをやりつつ、ちゃんと自分の生活も賄えるようにしようと決意したんです。 そんな折、知り合いから誘われてインドネシアで日本食レストランの通訳の仕事をすることに。そこで今の活動に繋がる運命的な出会いがあったんです。私は元々アトピー体質で、インドネシアのひどい乾燥と仕事のストレスで悪化。それで悩んでいることをブログに書いたら、現地で知り合って仲良くなった日本人の友人が、カポポサン島産のココナッツオイルをくれました。塗ってみたら肌のかゆみも乾燥も劇的に改善。「これ、めっちゃええやん。日本で売ったら売れるんちゃう?」と軽い気持ちで言ったら、「そんなことができるのなら島の人たちは喜ぶからぜひやってほしい」という返答だったので、一週間後に島に渡りました。 孤立した島では漁くらいしか収入源がなく、漁師たちは手っ取り早く魚を獲ろうと、ダイナマイト漁をしていました。確かに簡単にたくさんの魚が獲れるのですが、同時に魚の住処であるサンゴ礁も木っ端微塵に破壊されて死んでしまいます。今後もこれを続けていったら、子どもたちが漁師になった頃には魚がいなくなる。そうなったら島での生活自体が成り立たなくなる。そこで漁の代わりにココナッツオイルを収入源にできないかと考えたわけです。ココナッツオイルの生産工程を見せてもらったら、自生しているヤシの実を原材料として島の人たちが手作りで作っていました。あとは流通と販売だけ。私が島の人たちから適正な金額で買い取って、日本で適正な価格で販売することで、彼らがダイナマイト漁をやめても生活していけるようになれば、立派なフェアトレード商品と言える。こう思った時、「これや! やっと本当に私がやりたいことに出会えた! 絶対にやらんとあかん!」と決意したんです。 生産から販売まで、数々のハードルを乗り越え、初めて商品としてのココナッツオイルが届いたのが2014年末。以来、少しずつ日本で販売してくれる店も増え、私自身もこれ1本で生活していけています。忘れられないのが、始めて半年後に、島の村長さんから送られてきた日本語でのボイスメッセージ。「島では誰もダイナマイト漁をする人がいなくなったよ。ありがとう、愛」──これを聞いた時は嬉しくてとめどなく涙があふれてきました。高校生の皆さんもやりたいと思ったことは取りあえずやったらいいと思います。やりたいことがわからないという子は、自分がどう生きれば楽しくて幸せかを想像すればいい。そうすればおのずとやりたい仕事が浮かんでくるでしょう。もしなければ自分で作ればいいんですよ。“何がしたいか”より“どう生きたいか”を想像してみよう。フェアトレードに取り組むLove’s Gallery代表/竹本(旧姓:藤原)愛希望の道標取材・文/山下久猛撮影/山田紗基子1987年兵庫県生まれ。高校卒業後、カナダへ1年間語学留学。帰国後、1987年兵庫県生まれ。高校卒業後、カナダへ1年間語学留学。帰国後、2年間スペインバーのバーテンダーを経て、22歳の時フェアトレードポリシ2年間スペインバーのバーテンダーを経て、22歳の時フェアトレードポリシーのショップカフェ“Love’s Gallery”を神戸市に開業。2012年、閉店しイーのショップカフェ“Love’s Gallery”を神戸市に開業。2012年、閉店しインドネシアへ移住、通訳の仕事を経験。この時知人を介してココナッツオインドネシアへ移住、通訳の仕事を経験。この時知人を介してココナッツオイルに出会い、カポポサン島でフェアトレードココナッツオイルプロジェクトをルに出会い、カポポサン島でフェアトレードココナッツオイルプロジェクトを開始。現在に至るまで、島民の生活改善、自立支援、環境保護に寄与し開始。現在に至るまで、島民の生活改善、自立支援、環境保護に寄与している。一児の母。ココナッツオイルはオンラインでも購入可能ている。一児の母。ココナッツオイルはオンラインでも購入可能たけもと・あいたけもと・あい●Love’s Gallery  http://lovesgallery.wixsite.com/coconutoil●Love’s Gallery  http://lovesgallery.wixsite.com/coconutoil32018 OCT. Vol.424

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