キャリアガイダンスVol.424
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は異なる。昨年度、単に資格取得のためではなく探究の学びを楽しみたいと言って進学したり、重なる不採用にも諦めずに挑み続けて最後は希望の職種に就いたりと、強い意思をもった進路決定が目立つように。また、大学などの自己推薦書には、探究の学習活動の内容や成果を自ら記入する生徒が大幅に増加。それが入学者選抜に良い影響があったのではないかという。 「これまでは何を書いていいかわからないという生徒も少なくありませんでした。それが今、多くの生徒が非常に具体的に探究の学習活動の経験を書けるようになったのは、自分で考え行動してきたからこそでしょう。それを強く感じた3年次担当者を中心に、方向性は間違っていないのだという認識が先生方に広がってきたと感じています」(佐藤先生) さらなる進化に向けて課題もある。そのひとつとして佐藤先生があげるのは、目指す生徒像に向かうための評価の仕組みを整備することだ。今年度初頭に、学校目標に紐づく9つの資質・能力についての「コアルーブリック」(コモンルーブリック)を作成(図6)。目指す生徒像への到達度の基準を具体的に示した。今後は、これを基盤として各教科・科目や学校行事、クラス運営などにおけるルーブリック作成も進めていく計画だ。 また、2年間で立ち上げてきた同校カリキュラム・マネジメントに基づくさまざまな実践を、教員個人の力に頼るのではなくシステムとして根付かせることも、これからの課題となる。 「カリキュラム・マネジメントは、一部の誰かではなく全員で取り組むものです。そのために、まずは全教員が学校教育目標を空で言えるような状態を目指していきます。しかし、必要な教育実践は永遠ではなく、時代の変化によって変わっていきます。目の前の目標に向けて邁進すると同時に、長期的な教育の方向性も見据えて対応していきたいですね」(吉瀬校長)図5 生徒アンケート結果(2017年度)図6 浦河高校コアルーブリック(2018年度) 項目1回目4月2回目12月ボランティア活動や地域のイベント(行事)などに積極的に参加している2.45 2.90 地域や世界との関わりについて考えたり、行動している(しようと考えている)2.88 3.24 多様な生き方(進路)に関する情報について、主体的に収集・分析することができる3.05 3.39 主体的に自分の生き方(進路)について、考え行動することができる3.23 3.56 課題解決のために、計画的に行動することができる2.93 3.25 日々の生活のなかで、自ら課題を発見し、課題を克服(しようと努力)することができる3.14 3.44 どんなことも勉強になると考え、積極的に行動している3.03 3.32 状況に応じて、進路を軌道修正することができる(しようと考えている)3.20 3.49 自分の考えを論理的(筋道を立てて)に説明できる2.96 3.24 大人の話に疑問点があったら、質問したり訂正したりする2.98 3.22 自分の能力(自分が何を知っていて、何ができるか)を客観的に把握している3.17 3.39 状況に応じて、感情や行動をコントロールできる(怒りやいら立ちがすぐに顔や態度にでない)3.15 3.36 課題を解決する方法を試行錯誤しながら探ることができる3.25 3.46 自分の可能性を信じている2.84 3.02 相手の立場や考えを理解し、発言や行動する3.40 3.53 保護者や教員の言っていることに間違いもあると思う3.38 3.51 年齢や性別が異なる相手とも協力して行動することができる3.40 3.52 自分の置かれている状況を理解し、その場に応じた発言や行動ができる3.34 3.45 何事も大人や教員から言われたとおりに、行動するほうが良いと思う2.09 2.15 わからないことやできないことは、そのままにする2.03 1.94 ※あてはまる4点・ややあてはまる3点・あまりあてはまらない2点・あてはまらない1点として調査し、平均値を算出。1回目と2回目で増加ポイントの大きい順に並べ替えたもの。主体性・積極性に関わる項目を太字で示している。に表れている。20項目の行動・態度についてできているかを聞いた、昨年4月と12月のアンケート結果を比較すると、ほとんどの項目で上昇がみられた(図5)。特に、「地域の活動への積極的な参加」や「自分の生き方への主体的な考え・行動」など、積極性や主体性に関する項目が伸びている。 進路決定への取り組み方も今までと戦する先生方が増えている証拠ではないでしょうか」(佐藤先生) 2年間の学校改革の推進のなか、主体性に課題があった同校生徒の様子が変わってきたという。教員が日常的に感じている手応えは、データにも明確積極性、主体性に関する生徒の自己評価が大幅アップシステムとして定着させ全教員で取り組んでいく探究をカリキュラム・マネジメントでどう位置付けるか浦河高校 (北海道・道立)Report 2332018 OCT. Vol.424

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