キャリアガイダンスVol.424
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すべての学習活動のコアに探究をおき、教師のあり方から問い直す広島叡智学園中学校・高校 (広島・県立)2019年4月開校 2014年12月、広島県教育委員会は「広島版『学びの変革』アクション・プラン」を策定した。10年後の目指す姿と最初の5年間のアクションプランで示されたのが、県下全小中高校で推進する課題発見・解決学習と異文化間交流である。2001年から県が取り組んだ学力向上プロジェクトにより、ペーパーテストの点数は伸びたが、意欲や社会で求められる力がついていない、出発点にはそんな課題意識もあった。目指すのは、グローバルで不確実な世の中で「広島で学んだことに誇りをもち、胸を張って『広島』『日本』を語り、高い志のもと、世界の人々と協働して新たな価値(イノベーション)を生み出すことのできる人材」の育成。そして、そうした人材を育てることのできる教員の養成だ。 県立広島叡智学園は、この変革を牽引する学校として構想され、来年度開校を迎える。1学年40人の中高一貫で、本当に実現のため行動できる人を育てるということ。自分の意志をもち、自分で決断でき、自分の人生を自分で創ることのできる人を育てたいと考えています」と設立への思いを語る。 そのための具体的なカリキュラムの柱は、総合的な学習の時間にあたる「未来創造科」(図2)だ。初期には半期ごとに「幸せ」「環境」「社会正義」の大テーマを設定。デザイン思考を取り入れグループで協働しながら調査やアイデアの作り方などを学び、解決策の実行を行い、リフレクションをする。次に、それらのテーマを探究するなかで広げた視野や、課題意識を元に個人プロジェクトに取り組む。中学3年からは認定申請予定の国際バカロレア(IB)カリキュラムに沿って、中等教育プログラム(MYP)、ディプロマプログラム(DP)の各プロジェクトに取り組む予定になっている。 IBのプロジェクトは「探究」「行動」「振り返り」を循環させながら行う活動だ。活動を通して知識・姿勢・スキルを身に付け、コミュニティに行動をもって貢献できる人となることが目標と校、大崎上島という離島地域での全寮制教育、高校から国語以外は英語で授業を行い、1学年20人の留学生を全世界から募集、国際バカロレアの認定を目指す。公立としては規格外の学校像だが、グローバルに活躍できるリーダーを育てるとともに、ここから生まれる新しい学びの形を、全県に波及させることも期待されている。 掲げたミッションや重点的に育成する力(図1)からは、県全体の方向性をさらに先鋭的に実現しようという意志が見てとれる。現在建設中の校舎(写真左下)は、知の拠点となるメディアセンターや協働的な授業に適した教室設計がなされ、ソフト・ハードともに探究学習を実現する準備が進行中だ。 開校準備を進めてきた林史校長は「ミッションに掲げた『平和』には、世界の平和も家庭の平和もあります。『学びを通じて平和な社会を実現し続ける』ということは、世界や身近な場所校長林はやし 史ふみ先生広島叡智学園の教職員と林校長。学校を創っていくチームとして大切にしたい行動規範、約束事を話し合い、合意した宣言を壁に掲示している。・ポジティブに考え、学び、行動する・笑顔でアイデアを傾聴し、共有し、吟味する・取り組んでいることに情熱を持ち続ける・リスクテイカーになる・チームとしてお互いを尊重し合う・助け合い、公平、中立的な環境をつくる・本質から外れない・テクノロジーを適切に使う2019年開校予定/併設型中高一貫教育校/全日制普通科/全寮制/生徒数 中学1学年40人、高校1学年60人(うち20人は外国人の留学生)を予定/国際バカロレア ・ディプロマプログラム(IBDP)導入に向けて検討学校データ取材・文/江森真矢子探究ベースの学びを全県にシンボルとなる新設校未来創造科を核に全教科で探究的な学びを(写真上)探究的な学びを実現するために、教室はディスカッションや協働活動に適したデザインを採用。(写真左)図書室は知の拠点として多様な探究・創造活動を支える「メディアセンター」として設計している。342018 OCT. Vol.424

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