キャリアガイダンスVol.424
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 総合学科1年次の必修科目「産業社会と人間」の大きなテーマは、「10年後の自分はどうありたいか」である。学期ごとには「しこう」をキーワードに、1学期「未来を思考する」、2学期「未来を指向・志向する」、3学期「未来へ試行する」というテーマを定めている。自己理解から始まり、職業や地域社会について学びながら、自分の進路を見据え、2年次からの系列選択や科目選択ができることを目指す。進路調べやインターンシップなど各学習の中で、学習中の記録、学習後の振り返り、発表を繰り返す。学習を深めるため、通常2単位のところを3単位とし、2単位は理論編、1単位は実践編とした。 繰り返しの学習の象徴として、全員が同じ病院で2回にわたるインターンシップを行う。1回目は福祉や看護に関する体験、2回目は病院内のさまざまな仕事(例えば事務、栄養士など)から興味があるものを選ぶ。1回目で気づいたことを記録し、振り返り、2回目に向けて心がけたいことを事前に洗い出してから挑む。 2015年に普通科から総合学科へ改編した奈良県立二階堂高校。普通科時代の2001年度から総合的な学習の時間を活用して3年間を通したキャリア教育を実践してきた。2009年には学力向上に向けてオリジナル教材「Brush Up Time」と「まがたまノート」(P.40参照)を導入し、2011年度にキャリア教育優良学校文部科学大臣表彰を受賞している。 その後、キャリア教育のさらなる推進と充実のため、総合学科への改編に手を挙げる。文部科学省の掲げる総合学科の理念に共感し、理念に沿った新しい二階堂高校を作ることにした。そのための職員全員参加の会議を、改編2年前から月2回のペースで行い、学科名、系列名、科目をブレーンストーミング法やKJ法などで整理。自分自身の生き方・在り方を考えながら人生設計を行う学科として「キャリアデザイン科」という名称が決まった。また、同校の長所として生徒たちが素直、教員のまとまりがある、短所として生徒の部活動加入率の低さや家庭学習時間が少ないこと、積極性に欠けることなどが挙げられた。 改編とともに進路指導部もキャリア教育部に名称変更。学校の教育活動全体でキャリア教育を行うため、各分掌や教科、学年をつなぐコーディネーターとしての役割を担っている。改編4年目、同校を第1希望として選ぶ中学生が増え、生徒の自尊心や愛校心が育っている実感があるという。構成/平林夏生 文/永井ミカ大学進学27人、短大進学13人、専各進学49人、就職67人、その他23人まだ総合学科の第1期生が出たばかりで、進路実績に大きな変化はない。入学生の学力がやや上がってきていることと、新入試制度への対応で、今後は進学の割合が増えることが予想される。1977年創立/キャリアデザイン科(ビジネスコミュニケーション系列・子どもと暮らし系列・人間文化と芸術系列・自然科学と情報系列)/生徒数560人(男子204人・女子356人)オリジナルのツールを使って記録や振り返りを繰り返し練習総合学科のグランドデザイン総合学科へ改編するときは、普通科の学びを一度完全にリセットして教育目標から見直した。それぞれの教育活動を一から総合学科の理念に照らし実施を判断。この「総合学科のグランドデザイン」は毎年1月から全教員で作り始め、3月には教員に浸透させ、4月から一斉に走り出すというサイクルができている。※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.424)392018 OCT. Vol.424

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