キャリアガイダンスVol.424
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 高知市から西へ約20㎞の、のどかな地域に位置する高知県立佐川高校。周辺4町村(佐川町・仁淀川町・越知町・日高村)には同校の他に高校はなく、地域の多様な子どもたちが通っている。卒業後の進路は大学進学から就職まで幅広い。 100年近い歴史をもつ同校だが、近年、生徒数の減少が続いている。十数年前までは全校生徒数が300人を超えていたが、現在はその3分の1だ。これは単に少子化のためではなく、周辺中学校から同校への進学率が低下していることも影響している。 地域から選ばれない学校に未来はあるか。そんな危機感から、同校は2014年度に1年間かけて教職員研修で議論し、地域と共に生徒を育む「地域の元気の拠点」となることを目指す方針を打ち出した。その代表的な具体策が、総合的な学習の時間の改革だ。 それまで総合的な学習の時間では、進路学習や講演会などを単発で行っていたが、それらはLHRや学校行事に移行。新たに、「地域社会に貢献する意欲を持つ人材の育成」「社会に出て必要な能力の育成」「自分が体験したこと・学んだことを自分の言葉で語れるようにする」という3点を掲げ、地域学習を主眼とする3年間の計画的・継続的なプログラムを設計。15年度の新入生から、学年進行で展開してきた。生徒数減少の危機感がもとで総合的な学習の時間を改革 この新しい総合的な学習の時間は、同校のキャリア教育の柱としても重要な位置づけとされる。同校生徒は「大人しい」と評されることが多いが、実社会での体験や多様な人との関わり、豊富な発表機会を通じ、社会で役立つ幅広い力の育成を目指している。校長・谷村孝二先生はこう語る。 「プログラムを通じて生徒に期待する姿を端的にいうなら、『郷土を語れる』です。自分自身を知り、地域を知り、それを自分の言葉で語れる。それによって自らの進路を切り拓くことができ、身に付けた力を社会でも活かせるのではないかと考えています」 新プログラムは「いのち輝け〜さくら咲くプロジェクト〜」(以下「プロジェクト」)と名付けられた。同校の校是と、佐川町の名物である桜を取り入れた、地域連携を象徴する名称だ。 その大まかな内容は、地域学習やインターンシップの経験を基に地域課題の発見・解決に取り組み、地域への提言を発表するというもの。すべて地域との連携が前提となる。 そこで、「プロジェクト」立ち上げ時、推進役を担った総務・企画部長・栁井知雄先生と当時1学年主任・堀内理香先生がまず行ったのは、周辺4町村の役場を訪問しての協力要請だ。「地域の元気の拠点」を目指す同校方針と「プロジェク地域から選ばれる学校となるため、4年前から地域連携による課題探究学習に取り組む佐川高校。その取り組み内容は高く評価され、地域での存在感が確実に増しています。生徒の主体性にはまだ課題もありますが、今年度は新たな対策も。着実に進化する同校の取り組みをご紹介します。取材・文/藤崎雅子総合的な学習の時間 地域連携 インターンシップ 探究活動 ルーブリック先進校に学ぶキャリア教育の実践周辺町村との連携による総学を軸に 地域社会に貢献する意欲と能力を育成佐さかわ川高校(高知・県立)周辺町村と課題感を共有し連携体制を整備482018 OCT. Vol.424

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