キャリアガイダンスVol.424
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 1年生から2年生前半まで、和田先生が授業で重視するのは〝For Fun〞、楽しむことだという。英語を学ぶことを楽しみ、何よりも「英語を使って人と関わり、つながり合うこと」を楽しもう、と。 「誰とでもペアを組めて教師との掛け合いも楽しめて、課題には周囲と助け合って挑もうとする。まずはそんな受容的なクラスカルチャーをつくりたいんです」 授業の始まりはペアでの英会話から。 次いで授業の前半は、教科書のテキストを読み解く学習だ。その際の学習も生徒同士の関わり合いを中心に進める。 例えば、教科書の1節を各自が1〜2分で読み、机をつけたペアで、理解した内容や感想をシェア。そのあとで和田先生生徒を見取って授業をデザイン生徒が主役の英語の授業について、その舞台裏に迫るべく、脚本や演出を担った先生にスポットを当ててご紹介します。場づくりの工夫とともに、教材研究の大切さを改めて実感させられた、そんな授業実践をご覧ください。取材・文/松井大助撮影/竹内弘真 順天中学・高校の和田先生は、生徒には「優しい人になってほしい」そうだ。変化の激しい時代に、牧歌的すぎる目標にも感じる。が、和田先生はいたって本気だ。 和田先生の考える「優しさ」とは何か。「多様なものを受け入れることのできる素養を身に付けること。そのうえでいろいろなことを知って、いろいろな想像力を広げて、他者の心に共感したり寄り添ったりすることのできる幅をもつことです。優しさとはそうして鍛えていくもので、単に人当たりが良い、というのを、優しさとは言わないはずです。僕は、『学ぶとは、優しさを身に付けることにほかならない』と思っています」 学ぶことをおろそかにすれば、他者の背景にあるものへの理解が欠けて、知らぬ間に相手を傷つけることがある。だから和田先生は、一緒に学んできた生徒には、時宜を見てこんな言葉も投げかける。 「無知は人を傷つけるんだ」 その言葉を生徒が軽く聞き流すのではなく、真正面から受け止めて「じゃあ自分は、誰のために、何のために、どんなことを学びたいだろう?」と思考を深めていけるように。和田先生が英語の授業で目指しているのは、生徒のなかにそうした土壌を耕していくことだ。順天中学校・高校(東京・私立)無知は人を傷つける学ぶことで「優しい人」に言葉を使うんだったらもっと豊かにつながろう塾講師や非常勤講師を経て、順天中学・高校の教員に。現在は教員対象のさまざまな英語授業研修会で講師も務める。著書に『5STEPアクティブ・リーディング』『論理を読み解く英語リーディング』『世界を読み解く英語リーディング』(いずれもアルク)。英語和田 玲先生生徒に対する想い授業の実践ペアでのワークのあと、和田先生が全体に意見や感想を求めると、生徒たちが次々と手を挙げて答えようとする。白い歯をのぞかせて笑顔で挙手しているのが印象的。542018 OCT. Vol.424

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