キャリアガイダンスVol.424
61/66

 東京都立雪谷高校は教育目標の一つに文武両立を掲げている。生徒たちは部活動を活発に行いつつも進学意欲が高く、ほとんどが大学進学を希望。しかし、部活動の忙しさもあり、進路選択をしたり学習することを先延ばしにする傾向があるというのが課題であった。また放課後補習など学習面のフォローも難しかった。 「このままではいけないと、低学年のうちから文武の〝文〞にもっと力を入れようということになり、外部コンテンツの導入や教育委員会の事業などに積極的に取り組むようになりました」と言うのは高田直人先生。それに伴い、進路指導部を中心に「チーム雪谷」として全教員が協力し合って進路実現を図っていくという機運が高まった。例えば、スタディサプリを用いて補習を行ったり、部活動の顧問が学習面で遅れている部員に対し補習への参加を促すといったことも行われるようになってきた。そして、ここ5年ほど進学実績が伸びている。 しかし、将来の生き方・働き方を考えじっくりと進路選択ができているかといえば、それはまだこれからの課題として残っていた。 進路選択に関しては従来は学年単位で取り組み、ワークシート類もそれぞれの学年で用意。それを一部外部のツールも活用するようにした。左で紹介しているスタディサプリ進路『進学事典』も昨年度の2年生で初めて導入した教材。小論文や志望理由書を書く練習になればと付属のワークシートにも取り組ませた。適性検査の結果を元にワークシートに記入しながら志望理由につなげていくというもので、現在は、これまで使っていた「第一志望宣言」に置き換え、こちらを中心に使っている。「自己理解から始まり自分と向き合いながら志望理由に至っていくプロセスがいいと思いました。生徒たちは意外と深く考えています。それをきちんと引き出してあげられる仕組みになっています」 このワークシートは生徒の自己理解だけではなく、教員の生徒理解にも役立ち面談でも活用できる。教員がクラス全員分に目を通して返却、生徒は自分の「総合ファイル」に綴じてポートフォリオの一部にもしている。 「雪谷は数値目標よりも希望進路の実現にこだわる学校」と高田先生。「これからも、生徒にしっかり将来を考えてもらい、目標を立てさせ、結果的に学習に力を入れ希望進路の実現を果たせるような進路指導を行っていきたいと考えています」将来の生き方について考え進路選択することを先送りにしてしまいがち課題生徒自身の考えを引き出す外部ツールを活用し志望校決定まで丁寧に導く活用 学校選択  学部・学科選択  志望理由書【活用キーワード】1913年創立/普通科/生徒数829人(男子392人・女子437人)/進路状況(2018年3月実績)大学195人・短大3人・専門学校25人・就職0人・その他48人雪谷高校は1学年7クラスあり毎年クラス替えを行う。文理選択は1学年で行い2学年で文理別のクラスに。3学年からはさらに国立・私立や選択科目によってクラス替えがあり、その参考にするために2学年の3学期に「第一志望宣言」という名の進路希望アンケートを実施する。「第一志望宣言」のプリント。学校名、選択の理由、目指す未来を書く欄があり、保護者や友人のサインをもらって完成させる。3年生に向けて気持ちを引き締める意味もあり、また新3年生の担任の資料にもなる。2学年終わりの「第一志望宣言」リクルートサービスを活用した実践事例【進路】取材・文/永井ミカ昨年度より『進学事典』のワークシートを導入。最初は小論文を書く練習用に取り入れたツールだったが、結果的に従来の第一志望宣言からもう一歩深めて受験への思いを固めるのに役立つツールになった。さらにオープンキャンパスへの動機づけとしても役立ったという。また、適性検査を参考にすることで詳しく書くことができるため、生徒がしっかり自分の志望する進路と向き合える。「漠然とした思いが具体的な言葉になった生徒もいるし、もしかしたらもっと他に適性があるのかもと、ポジティブに進路を考え直す生徒もいました」と高田先生。『進学事典』のワークシート志望理由の準備ワークシート(項目)1.自己理解● 適性診断の結果「キミの特技&能力の特徴は?」 を読み自分の強み・長所をいくつか書き出しましょう。● 自分について友人・先生から言われた言葉などを書いてみましょう。● 結果について思い当たる経験を書いてみましょう。● まとめ:自分を語るエピソード・具体例をまじえて自分の強み・長所を文章にまとめてみましょう。2.志望理由● 志望校・学部・学科・コースの宣言● その理由● 志望校を選んだきっかけ● 入学後に実現したいこと第一志望に向かってダッシュするためにワークシートで自分の気持ちを再認識雪谷高校(東京・都立)3学年進路担当高田直人先生612018 OCT. Vol.424

元のページ  ../index.html#61

このブックを見る