キャリアガイダンスVol.424
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 自宅で、子どもに「〇〇について教えてほしい」と専門外のことを尋ねられたとして、「私は国語の教師だから無理」とは普通、言いませんよね。知識はともかく、それなりに調べ方や考え方、学び方を伝えるはずです。けれど、学校で専門外のことを質問をされたとしたらどうでしょう。スルーしてしまうこともあるのでは? 教育活動において知識同様大切なのは、学びのプロセスであり、学びに向かう力です。国語の先生なら、例えば、「こういう分析の手法を使うことで源氏物語の世界が深まった。参考になるのでは」と伝えることも、学び手にとって意義あることです。 何かについて調べ、考えると、新たな疑問が生じ、さらに考えていくことで、理解が深まっていきます。その際、既存の知識と関連付けたり、順序立てたり、頭の中ではさまざまな思考の手順を働かせているもの。一般に思考スキルと呼ばれ、今回の学習指導要領では「考えるための技法」として、「比較する」「分類する」「関連付ける」などが例示されています。漠然と「考えろ」では、どう考えればいいか迷う生徒も出てきますが、「意見を分類して考えてみよう」ならば、思考の筋道がぐっと立てやすくなるでしょう。 前置きが長くなりましたが、総合的な探究の時間は、こうした思考スキルを駆使しながら学びを深めていく場でもあります。まずは「探究」とは何か。新しい学習指導要領の確認から始めさせてください。 現行の高等学校学習指導要領では、総合的な学習の時間の「目標」について、「横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して〜」という書き出しで始まっています(P12参照)。 実は、この表現が一部で議論になっていました。「横断的・総合的」であることと「探究的」であることが、ともに求められるのか、片方だけでいいのかという議論です。 個人的には前者の立場で説明してきましたが、確かに、解釈次第では後者と捉えることもできますよね。実際、総合的な学習の時間といえば、教科横断的な取り組みという認識が強く、現実にはキャリア教育、もしくは事実上の受験指導に充てている高校が少なくないことも周知の通りです。 一方、新高等学校学習指導要領では、「探究の見方・考え方を働かせ、横断取材・文/堀水潤一 撮影/安藤貴史思考の筋道を立てやすくする考えるための技法=思考スキル問題解決に向け、自分なりの主張や提案ができるまでに学習指導要領の改訂により高校においてその名を変えた「総合的な探究の時間」。これからの社会を生きていく生徒に必要な資質・能力を育んでいくために、なぜ探究が必要なのか。そもそも探究とは何か、関西大学の黒上晴夫教授に伺いました。今、改めて考えたいそもそも探究とはなぜ探究が必要なのか関西大学総合情報学部 教授黒上晴夫くろかみ・はるお●1959年生まれ。大阪大学人間科学部卒業。同大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。大阪大学技官および助手、金沢大学助教授を経て、2002年より現職。専門は教育工学。研究領域はカリキュラム、教育評価、ICT活用。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会「生活・総合的な学習の時間ワーキンググループ」委員として学習指導要領の改訂に深く関わる。82018 OCT. Vol.424

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