キャリアガイダンスVol.424
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部分。単なる知識ではなく、それらをどう捉え、どういう場面に当てはめるかといった教科の核心、という説明ではわかりにくいでしょうか。今回、探究と付く科目が複数登場しましたが、その違いを説明する際にも、私はこの言葉を使っています。 まず、古典探究、地理探究のような各教科における探究は、それぞれに固有のディシプリンを使い、その教科の理解をより深めることを目的に探究活動を進めます。既知の事柄について、うまく導かれながら、「こういうことか!」という感動とともに学習者自らが発見したように展開される「発見的学習」にも似ています。 一方、理数探究の場合、理科と数学のディシプリンを複合的に用いながら、より高度な理解につなげていきます。 総合的な探究の時間では、それをさらに広げ、実社会・実生活にある複雑な問題に対して、どの教科のディえるなら、学習を通じて「この問題はこう解決すべきだ」というように自分なりの主張や提案ができるようになること。その点で、調べ学習とは違います。 では、「探究の見方・考え方」とは何でしょうか。同総則編や中教審答申の文言を借りつつ、私なりにまとめると、こういうことになります。「横断的・総合的な学習で扱われる幅広い事象に対して、どの教科の見方・考え方(教科ならではの物事を捉える視点や考え方)でアプローチすればいいか俯瞰的に考え、適切に組み合わせながら問題を解決していくこと。それも、一定の答えが出て終わりではなく、実生活や自分の将来と関係付け、見通しをもって学び続けること」 今回、高校だけが総合的な「探究」の時間に変わり、学習指導要領上の表記も、小・中学校は「探究的」、高校では「探究」と使い分けられたこともポイントです。高校での「探究」は、それまでの「探究的」な学習と比べ、より高度化し、自律的な学びへ発展するものでないといけないわけです。 この「見方・考え方」と近い意味をもつ言葉に「ディシプリン」があります。その教科をその教科たらしめる中心的・総合的な学習を行うことを通して〜」と始まっています。これは明らかに両方を満たすということ。つまり、学習領域的には「横断的・総合的」、学習プロセスにおいては「探究の見方・考え方」を働かせるべきことが明確にされたわけです。 では、その「探究の見方・考え方」とは何か。その前に、そもそも「探究」とは何か、整理したいと思います。 2018年7月公表の「高等学校学習指導要領解説 総合的な探究の時間編」では、「探究」について次のように説明されています。「総合的な探究の時間における学習では、問題解決的な学習が発展的に繰り返されていく。これを探究と呼ぶ。(略)要するに探究とは、物事の本質を自己との関わりで探り見極めようとする一連の知的営みのことである」 私の考えを付け加シプリンを使う必要があるか判断したり、組み合わせたりしながら、メタ的に使うことが求められます。探究の見方・考え方を生かした、フルバージョンの探究学習が行われる時間と言っていいでしょう。 今回の改訂は、すべての教科等で、育成したい資質・能力を3つの柱で整理したことが特色で、それは総合的な探究の時間も同様です(P12参照)。もともと前回改訂における総合的な学習の時間での議論が先鞭をつけたようなものですが、今回、改めて、この時間で育てたい資質・能力、とりわけ、一見、探究活動と結びつきにくい「知識・技能」について深く考え直す機会となりました。その結果、まとめられたのが、目標の(1)「探究の過程において、課題の発見と解決に必要な知識図1 探究と各教科のディシプリン総合的な探究の時間理数探究理数探究基礎理数のディシプリンを複合的に用いるゆるい学際STEM各教科における探究(古典探究、地理探究等)単一のディシプリン発見的学習各ディシプリンをメタ的に用いる学際的、内省的、統合在り方すぐに忘れる知識ではなく、生きて働く知識・技能を※黒上教授資料より編集部で作成その教科をその教科たらしめるディシプリンを複合的に使う知識と知識が関連付けられ構造化することで深まる理解そもそも探究とは? なぜ探究が必要なのか?黒上晴夫 (関西大学総合情報学部 教授)Interview 192018 OCT. Vol.424

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