キャリアガイダンスVol.426
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 開校5年目には、地元のシェフやイベント主催者らと共に、生徒が養蜂やハチミツの商品開発・販売に挑める〝教科横断型〞ミツバチプロジェクトも始動した。蜂の生態を学ぶ理科の授業、ハチミツを材料に調理する家庭科の授業、商品開発や販売実習をする西野先生の商業の授業などを組み合わせ、生徒が関心ある授業を柔軟に選択できるようにしたのだ。 ミツバチプロジェクトがメディアで紹介され話題になると、企業や行政からの連携の打診も増え、活動の幅がさらに広がる。例えば「まちなか職場体験」。小学生が地元商店街で1日職場体験できる場を、札幌大通高校の生徒が事業者と一緒に創出する。 「まちなか職場体験には不登校経験者など困り感を抱えていた生徒も多数参加し、小学生のために、と最後までやり抜いたんですよ。社会に開かれ 「21世紀型教育」を目指し学校改革を進める香里ヌヴェール学院。江藤由布先生は、改革を推進する学院長補佐として昨年同校に転任した。江藤先生が設立・運営している教員の協働の場「オーガニックラーニング」の活動に、同校の石川一郎学院長が共感したことで抜擢されたのだ。 江藤先生が考案したオーガニックラた学びの効果を実感しました」 目下の課題は、こうした活動をいかにしてこの先も継続していくかだ。 「活動内容を全部パッケージ化して『これをやって』と次の先生に引き継ぐと、やらされ業務になって衰退しかねません。そのため、今試みているのは『人』を引き継ぐことです。若い先生方に、活動を牽引する地域の方々を紹介し、お互いの思いを基に活動をさらに発展させてもらおう、と」 また、西野先生は昨年より、教員を続けながら、福井大学連合教職大学院に通い出した。高校で本物体験を展開しつつ、それが生徒や社会に何をもたらすか「実践を理論付ける」ことにも挑み、自分を含む全国の先生がこうした活動により見通しや自信をもって臨めるようにしたいからだ。 「研究テーマには『社会に開かれた学校から、社会と共に創造する学校へ』という言葉が浮かんでいます。生徒が地域に入って学ぶと、一緒に活動する大人も真剣に学び考え、結果、皆で『まちを創っていく』ことにつながると感じているんです。生徒も教員も地域の大人もそれぞれの立場から学び、地域貢献もしていく。そうした場を、ヒト・モノ・コトをつないで生み出していきたいです」数カ月活動する「まちなか職場体験」。他にも短期、長期のさまざまな地域の大人との活動がある。2017年度より一定時間の活動で単位認定もするように。質より量の授業で実績は上がるしかし、心が疲弊していった江藤由布先生香里ヌヴェール学院中学校・高校(大阪・私立)学院長補佐近畿大学附属高校で21年間英語教員として勤務。2015年、「人生の経営者を育てる」ことを目標に社団法人オーガニックラーニングを立ち上げ、Edupreneur®(教育事業家)として活動の幅を広げる。2018年から現職。二児の母。人をつなぎ、実践を理論付け社会と共に創造する学校へ学校の外の人とつながることで、教員としてのキャリアも広がる3Story取材・文/長島佳子ネットで発信、自ら人を集めて行動に移したことで、自分の価値が見えてきた“これから”を歩む教員 5Stories232019 FEB. Vol.426

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