キャリアガイダンスVol.426
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まとめ/長島佳子 撮影/臼井美喜夫1963年4月、名古屋第一工業高校春日井分校として開設。1984年に現在の校名に改称。1990年、中学校開校。2014年、ユネスコスクールに認定。2015年にSGHに指定。近年、国公立大学、難関私立大学への進学率が上昇したり、中部大学との連携で高大7年間教育を実施するクラスの設置など特色ある教育で注目されている。ふたむら・ひらき1957年生まれ。南山大学文学部卒業。1980年中部工業大学附属高等学校(現・中部大学春日丘中学校・高校)に英語科教員として赴任。学年主任、特進部主任、進路指導部主任等を経て、2009年に教頭、2014年に副校長となり、2015年より現職および学校法人の理事に就任。幼少時代は学校嫌いな内気な少年だったが、小学校4年生の時に担任の先生から褒めてもらったことで学校が楽しくなり、生徒のスイッチを押す教員の役割の大きさが印象に残る。校長になるより教壇に立ち続けたかったが、学校改革を推進しつつ、志半ばで病死した先々代校長から後を託され任を受ける。進学実績を急成長させてきた先々代の実績を引き継ぎつつ、理事長・飯吉厚夫先生が唱える「楽しく、元気に、仲良く」という校風づくりに励んでいる。 本学園の建学の精神「不言実行、あてになる人間」のもと、現在の理事長が掲げる校風は「楽しく、元気に、仲良く」です。いずれもシンプルな言葉ですが、行動することを重んじ、他者との協働で積極的に人に役立つ力を身に付けるという意味で、これからの社会で必要とされる人材育成の本質について表現する、的を射た言葉だと感じています。 先々代の校長の頃から本校は学校改革を急進してきましたが、教育改革が待ったなしとされる時代にバトンを渡された立場として、国際化と、大学との連携強化を進めています。 国際化については、2015年にSGHの指定を受けました。それまで、愛知県でSGHの指定を受けるのは、進学実績で県内でもトップクラスの高校が主流でした。しかし、世の中の実態では、大企業以外の民間企業でも海外との接続は普通のことになっており、コンビニなどでも海外の方々が働いている風景が当たり前になっています。国際化が必要とされているのは限られた生徒ではなく、日本人全員の日常の中に求められていることです。中堅校として本校は「庶民派のSGH」を実現させるべく名乗りを上げました。 SGHとしてさまざまな取り組みを実践するなかで、新たな課題も見えてきています。昨年、カナダなど6カ国から生徒を招いて、SDGsをテーマにグローバルミーティングを開催しました。他国に比べて本校の生徒は、表現力や主張する力が弱いと感じました。今後はこうした力を生徒に身に付けるための取り組みが必要だと考えています。 大学との連携強化については、附属高校なのに受験勉強を意識した学びが多かった側面がありました。大学で自分の興味・関心に基づいた学びをするためのマインドセットを生徒につくることの方が大事だと考え、本学園が従来から高大の協力体制が強い利点を活かし、中部大学の卒業単位を高校在学中に取得できる高大一貫クラスを設置しました。高大7年間で実現可能な教育に新たに取り組みたいと考えています。 現代は働き方改革と教育改革が同時に求められており、先生方にとって大変なエネルギーが必要です。学校の中だけで教育を完結することはもはや難しく、今後は家庭はもちろん、地域社会、企業、大学、研究機関も協働して生徒を育てていかなければこれからの社会の変化に対応できません。そのためにも、先生方には外の世界をもっと見てもらい、外で学んだことを学校内で共有してもらえたらと思います。教員は学校を1度も卒業していない存在とも言われています。閉じた空間から外に出て、新しい知見を入れることが生徒の新たな興味・関心の種にもつながると思います。 そうしたことを楽しみながら、先生も生徒も誇りをもって毎日を過ごせる学校にしていきたいと考えています。一部の人だけでなく、誰もが国際化しなければならない時代学校外にある人的資源と協働しみんなで生徒を育成する環境を二村 啓中部大学春日丘高校・中学校 校長中部大学春日丘高校・中学校(愛知・私立)国際化を学校の日常に、高大連携の7年間教育導入など時代の要請に応える教育を実践392019 FEB. Vol.426

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