キャリアガイダンスVol.426
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まとめ/堀水潤一 撮影/大森麻日香1966年創立。2016年現校名に改称。スーパー特進難関受験コース、スーパー特進アスリートコース、進学Ⅰ類コース、進学Ⅱ類コースの4コース。柔道部、野球部、サッカー部など13の強化部をはじめとする多くのクラブが全国レベル。スクールポリシーは「人間力を育てる!」。スクールスローガンは「Team Tokai Fukuoka!」「Be the No.1!」「The hero is you!」。つやま・けんじ1961年生まれ。関西大学文学部卒業後、生活指導上の課題が山積していた大阪の府立高校で2年間勤務。初任校での体当たりの指導を通じて、「どんな生徒でも、誰かに認められたい。本当はもっと賢くなりたいという気持ちを絶対にもっている。それを引き出すのが教師の仕事」という今も変わらぬ信念が生まれる。同僚の紹介が縁で、88年、東海大学付属仰星高校(現東海大学付属大阪仰星高校)に国語科の教員として赴任。96年、中等部が開設したことに伴い、中学1年の担任と中等部主任を兼務。その後8年間、中等部の運営に従事。2年間の東海大学付属相模高校勤務を経て、2006年教頭として帰任。この間、コーチ・部長としてラグビー部に関わり2度の全国制覇を達成。11年に東海大学付属第五高校(現東海大学付属福岡高校)に副校長として赴任。翌年ラグビー部を創部し総監督に。17年より現職。 長く大阪で勤務してきた私が、副校長として本校に赴任したのは2011年のこと。生徒数が急速に落ち込んでいた時期でしたが、改革意欲にあふれる若手・中堅教員が多くいたことが救いでした。時代は変化しているのに現状維持では後退と同じです。部活動を強化し、学校行事やコース制の見直しに取り組んだほか、法人の支援を受けて無料スクールバスを導入。人工芝を敷設し、携帯電話のルールも改めました。 校長2年目の今年度は3つのスクールゴールを掲げました。1つ目の「授業 日本一」は、生徒の授業満足度を日本一に、ということ。2つ目の「部活動 日本一」は、部活動を通した人間的成長。3つ目の「挨拶と笑顔 日本一」は、心からにじみでる気持ちの大きさを指しています。 なかでも本丸は授業改革です。眠たそうにしている生徒に「それでは部活動はさせないぞ」と活を入れる先生もいましたが、部活動のために授業を受けるというのもおかしな話。賢くなりたくない生徒などいません。ファインプレーで褒められたいのと同様、誰しも、授業中、先生に当てられて正解を答えたいのです。校長講話でそう問い掛けると、生徒は大きくうなずいてくれます。 何のための勉強かといえば社会で通用する力を付けるため。人から頼られ、信頼され、力になる。そうやって誰かを幸せにすることが自分の幸せにもつながる人に育ってほしいのです。 昨春から、思考創造力、チーム力など身に付けてほしい「七つの学力」を明確にし、授業でどの力を付けるのか生徒と共有しています。さらに、アクティブラーニング委員会が中心となり、授業に臨む際の約束事を生徒用、教員用に10個ずつ「Ⅹ(テン)の約束」として設定。これを基に生徒からアンケートをとり、グッドティーチャーとベストティーチャーを選出しています。発表時に喝采が起こるのですが、「選ばれた先生だけが良いのではなく、生徒の皆さんが一緒に創った授業だから、良い授業といえるのだ」と語り、主体的に授業に参加する雰囲気を作っているところです。 管理職になりたてのころ、上司から「お前は甘い。もっと厳しくあれ」という意味のことを言われモヤモヤしていました。そんなとき、ある研修で「管理職の第一条件は温かさ」と教えられ、心が晴れた気がしました。トップの役割は温かく、そして明確なビジョンをわかりやすく示すことだと思っています。そうすることで、先生方も、「ほら、校長先生もこう言っていただろう」と生徒に伝えやすいでしょう。誰が聞いてもわかる言葉にして、発信し続けているのはそのためです。 現在、法人と協議しながら、教員の働き方改革や部活動改革に取り組んでいるところです。時間をやりくりしながら、諸活動の成果をさらに向上させる。そのためにはパラダイムチェンジが必要です。今までの価値観や経験にとらわれることなく、新しい枠組みの中でどう進化するかが教育の世界でも問われていると思います。「授業 日本一」「部活動 日本一」「挨拶と笑顔 日本一」を目指して管理職の第一条件は温かさ。そして明確なビジョンをわかりやすく示すこと津山憲司東海大学付属福岡高校 校長東海大学付属福岡高校(福岡・私立)既存の価値観や経験にとらわれず、新たな枠組みでの進化が問われる。今こそパラダイムチェンジを412019 FEB. Vol.426

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