キャリアガイダンスVol.426
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462019 FEB. Vol.426 誌上 進路指導ケーススタディ 受験期に落ち込む 生徒への声かけは?学年末も近づき、特に高校3年生は進路決定の大詰め。早々に進路が決定して浮かれる生徒がいる一方で、努力の成果をなかなか出せない生徒が気がかりになる時期です。そんな受験期の生徒への声かけを、今回は考えてみたいと思います。取材・文/清水由佳 イラスト/おおさわゆう今のー回ケス<ケースの背景・状況>センター試験で思ったほどに点数がとれず、落ち込んでいる3年生。焦るばかりで最後の追い込みにも熱が入らず、負のスパイラルに陥っているようなので、声をかけた。受験直前に停滞している生徒との面談先生: 最近受けている大学の手応えはどうだ?生徒: ・・・。あんまり。先生: それは困ったな。今、どんなふうに勉強しているんだ? 生徒: なんか、家で机に向かってはいるんだけど、 いろいろ気になってなかなか頭に入ってこなくて・・・。先生: この時期は、確かに一人であれこれ不安になるよな。 じゃあ、学校で集中的に勉強したらいい。先生も付き合うから。 明日から毎朝30分早く学校に来られるかな。 昼休みも先生の部屋で勉強すればいいし。 放課後は、苦手だと言っていた英語の先生にも協力してもらおう。 とりあえず、明日は今使っている参考書や問題集を みんな持ってきなさい。そこで、傾向と対策を(と細かく指導を行う)。第9回会津大学 文化研究センター教授 苅間澤勇人先生かりまざわ・はやと●1986年岩手大学工学部卒業後、岩手県の公立高校教諭に。早稲田大学大学院教育学研究科後期博士課程単位修得退学。教育学、教育カウンセリング心理学を専門とする。2015年4月より現職。やりすぎて生徒を振り回すありがちなやりとり1(解説&アドバイス)親切が過ぎておせっかいに注意。あくまでも生徒が主体で。 共感性が高く、熱心な先生にありがちなパターンです。生徒の悩みや不安をしっかり受け止められるのはいいのですが、先生まで一緒になってどっぷりはまってしまい、余計なおせっかいまで焼いてしまっています。 進路決定は、あくまでも「生徒が主体」です。先生が主導するのではなく、質問によって生徒が自分で気づき、行動につなげられるように後押しすることが大事です。その点、世話焼きタイプの先生は、生徒が考えるのを待ち切れずに、あれこれ先回りして答えを出してしまいがちです。このケースでも、生徒は完全に受け身になっています。納得しない対処方法では、効果が出ない可能性もありえます。 また、このタイプの先生は、表情や態度からも、生徒によっては「うざい」と言われる可能性があります。押し付けにならない適度な距離感も大切です。【解説&アドバイス】

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