キャリアガイダンスVol.426
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今日、医療とは診断や治療を指すだけではありません。健康寿命の延伸が社会の課題となるなか、疾病予防や健康維持、生活支援まで含めて、広く医療と考えるようになってきています。学長就任後、医療系の総合大学から発展させ、「健康・医療・福祉分野の総合大学」と掲げてきたのも、そうした背景があります。 2020年度に予定している健康スポーツ学部の新設や、既存の4学部(心理学部、医療栄養学部、医療経営学部、医療福祉学部)の健康科学部への再編も、この流れの中にあります(いずれも設置構想中)。 新学部では、「横断プログラム」を準備しています。例えばスポーツを学びンパス」という考えのもと、キャンパス整備においても、交流や連携機能を重視します。例えば、東広島キャンパスに設置する「しあわせ健康センター」では、地域住民に対して健康相談などを行う予定です。今年度から「広国市民大学」という市民講座も始めました。学生が企画したプロジェクトを大学がサポートする「チャレンジプロジェクト」では、看護学部などの学生が瀬戸内の島々を訪れ、地域全体の健康向上に一役買うなどの実践も行われています。 こうした取り組みを大学が提供するだけではなく、学生自身が運営を含めて深く関わることで、より実践的な学びになるはずです。単独の大学では難しい大掛かりな取り組みならば、近隣の大学と協力するという発想があってもいい。競争以上に、連携が大切な時代だと思います。 本学の将来像は「ともにしあわせになる学び舎」というもの。「しあわせ」とは、広い意味で健康に近い概念です。在学生や卒業生、保護者や教職員、地域の皆さんが、健康上の問題で制限を受けることなく、ともに学び、成長し、社会に「しあわせ」が広がっていく。そんな願いが込められています。【学長プロフィール】やけひろ・ますひで●1983年広島大学医学部卒業。広島大学医学部助手、講師を経て98年広島国際大学教授。総合教育研究機構長、学生支援センター長、教務部長、副学長を経て、2015年11月より現職。博士(医学)。【大学プロフィール】1998年開学。現在、保健医療学部、総合リハビリテーション学部、医療福祉学部、医療経営学部、心理学部、看護学部、薬学部、医療栄養学部の8学部10学科を有する。①専門職連携教育(IPE)など特色ある教育の充実 ②地域に開かれた学びの場の提供 ③新学部の設置 ④キャンパス環境の整備を、20周年事業における重点領域として進行中。健康・医療・福祉分野の総合大学として、領域を超えた教育、新学部設置、環境整備等に力を注ぐながら心理や福祉も学ぶ「介護予防運動トレーナーコース」の他「健康経営コース」など、いくつかの履修モデルを提示するなかで、専門領域を超えて学びを深めてもらいます。資格取得や就職先の幅が広がることでしょう。 交流や連携を重視するのは既存の学部も同様です。本学の教育の特色である専門職連携教育(IPE)を全学必修化するなどして強化。チーム医療やチームケアに生かします。一人ひとりの専門性を基盤に、コミュニケーションを重ね、互いの長所を引き出し、補いながらチーム全体の目標に向かう。これは医療の場ならずとも通用する力だと考えています。 「地域がキャンパス」「ユニバーサルキャ̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/滑 恵介広島国際大学学長焼廣益秀552019 FEB. Vol.426

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