キャリアガイダンスVol.426
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ある日のコズモタイムでは、「開成生を国際人にする」を掲げる探究グループが、外国人教員との座談会を実施していた。ほかの教室では、「エゾタンポポの繁殖」や「津波災害に強い防波堤とは」などをテーマに実験・観察に自主的に取り組む生徒たちの姿も。自ら課題を発見し、生涯にわたって学び続ける力を大切にします。6年間を通した学びの連続性を生かして、課題探究的な学習に向き合う環境を整えます。自己を肯定し、多様な価値観を認め合う心の余裕を大切にします。幅広い異年齢集団による学び合いを生かして、様々な文化と出会い交流できる環境を整えます。未知なるものに挑戦し、自ら道を切り拓く勇気を大切にします。6年間にわたる見守りを生かして、徐々に範囲を広げながら安心して挑戦できる環境を整えます。※2015年度新入学生(4期生)以降対象学校教育目標生徒のすがた大人のすがたわたし、アナタ、min-naそのすがたがうれしいステージ1・2年生基礎期探究・コミュニケーションスキルを身に着けるIB(国際バカロレア)のMYPIBの日本語DP独自の探究プログラム3・4年生充実期自らの学びを自らの力でデザインできるようにする5・6年生発展期自らの将来を自らの力でデザインできるようにするカリキュラム※2015年設立/コズモサイエンス科生徒数950人(男子522人・女子428人)進路状況(2018年3月卒業生)大学98人・専門学校2人・その他55人北海道札幌市東区北22条東21丁目1-1  011-788-6987 http://www.kaisei-s.sapporo-c.ed.jp/2015年、北海道札幌開成高校を改編し、札幌市立初の中等教育学校として開校。1期生(後期課程編入)と4期生(前期課程入学)の2つの学年でスタート。課題探究的な学習の推進のためIBのプログラムを導入。17年3月にMYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)、18年9月に日本語DP(ディプロマ・プログラム)認定。平成26年度スーパーグローバルハイスクール(札幌開成高校として指定)。平成29年度スーパーサイエンスハイスクール(2期目)。期生(前期課程入学)の2つの学年でスタートした同校では、まず1期生学年団が始めたさまざまな実践が、学校全体の取り組みへと発展した。ただし、2期生以降がすべての内容を引き継いで実施しているのではなく、内容の3割前後は、生徒の状況に合わせてアレンジしたり、新しい実践を取り入れたりしている。 「プログラムを作るだけでなく継続させることが大事だといわれますが、同じことをそのまま続けることにはあまり意義を感じていません。新しいことに挑戦する子どもたちを育てたいので、僕たち自身も新しいものを作り続ける姿勢を大切にしたいと考えています」(黒井先生) 「SELF」の取り組みの一つひとつは、自分で考え行動すること(Self)、仲間と協働して作り上げること(Co-create)、既存のものを組み合わせで新しいものを生み出すこと(Plus-on)という、3つの視点で設計されている(図3)。 それが色濃く反映されているのが、進路探究学習「フューチャー・ジョブ・セッション」だ。目先の進路ではなく将来的に社会でどう生きていくかに焦点を当てたもので、総合的な学習の時間などで年3〜8回程度実施している。活動回数は多くはないが、SGHやSSHの事業で実施する海外研修やフィールドワークなどの実体験や、教科学習で得た知識・スキルの学習との相乗効果も期待できる。 取り組み内容については1期生の実践を基に6年間のモデルプランを作成し、各学年で実施している(図4)。おおまかな流れは、まず、AIやロボットの進化が目覚ましい社会を見据えながら、多様な体的な探究を重視する学校の方針を踏まえたものだ。キャリアデザインプログラム「SELF」という枠組みで、さまざまな場面での取り組みを行っている。「SELF」という名称には、「本物に触れる刺激的な体験をするなかで自身の学び、将来について自分の力で考え実践していく」という同校キャリア教育の理念が込められている(図3)。設計に関わった黒井 憲先生は、そのポイントをこう話す。 「最大のキーワードは、主体性の育成です。そのために、生徒が自ら動ける環境整備と、自己決定する場をたくさん設定することに力を入れました」 開校時、1期生(後期課程編入)と4変化する未来社会を見据えた仕事や働き方を協働で考える図1 市立札幌開成中等教育学校の学校教育目標図2 6年間を通した学びの連続性572019 FEB. Vol.426

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