キャリアガイダンスVol.426
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Self:自主・自立(自分で考え行動する)Co-create:協創(仲間と協力して作り上げる)Plus-on:付加(既存のものを組み合わせて新しいもの生み出す)ステージテーマ基礎期(1・2年)仕事と社会充実期(3・4年)発展期(5・6年)サブテーマ仕事を知る仕事をつくる世の中をつくる目的目標活動例社会にある仕事・職業理解を深め、仕事と社会、仕事と仕事のつながりを探究し、「働く」とは何かを考える。● 幅広い業種・職業を知ることで、社会と仕事の関わりを学ぶ。● 教員以外の社会人と出会い、仕事に対する思いや実践を知る。● 「おかし」が手元に届くまでを徹底解明、徹底追跡!● よくわからない仕事、会社を徹底分析!仕事を通した社会への貢献を考え、社会問題とその課題について探究し、理想的な未来の姿を示す。● 仕事が果たす社会への役割を明確にする。● 自分が果たしたい社会への役割を明確にする。● 仕事を通して果たしたい社会への貢献を明確にする。● 社会問題を明らかにし、具体的な解決策を探究し示す。● 偉業を成し遂げた自分史を作ろう!● 社会問題に切り込む!プラスオンジョブを作ろう!自分が自分らしく生きていくために必要な思考と行動を探究し、よりよい社会と自分の姿を明確にする。● 未来の使命を果たすために必要な進学先について探究する。● クラウドファンディングの実践から、他者を巻き込むマインドを知る。● イントラプレナー、アントレプレナーとして企画書を作成する。● 起業家体験!あなたが社長なら何をする!?● よりよい未来と社会を生み出すアクションを!自分と未来と社会と…自分と未来自分と仕事ループは「食」をテーマにし、都市部における食生活の乱れや、農業が抱える後継者や安価な輸入品との競争などの問題点の解決策を検討。全国各地で農作物を生産して効率的に流通・販売する仕組みを構築し、生産者と消費者をつなぐとともに、環境対策や食育などにも取り組むという事業計画を発表した。 「未来のことを考えるものなので、僕たちは『先生』として正解を教えることはできません。生徒と同じ方向を見て、一緒に考えることを楽しみたいと思っています」(黒井先生) 今後は、事業を提案するだけでなく、仕事や働くことについて、外部講師による講演やグループワークなどを通じて理解を深める。そのうえで、仕事を通してどのように社会に貢献していきたいかを考え、各自のキャリアプラン作成や、「Plus-on」の考え方で社会課題を解決する事業を提案する探究活動などにも取り組むというものだ。 事業提案の活動では、例えば、あるグクラウドファンディングの仕組みを活用するなどして実際にアクションさせることも検討しているという。 「狙いは、起業家の育成ではなく、人と協働したりアイデアを組み合わせたりすることで自分の思いを形にするプロセスを体験すること。社会に出て挑戦したいことができたとき、高校時代の経験を活かして行動できる人になってほしいのです」(黒井先生) また、学校の枠を超えてチャレンジする場として、4・5学年希望者対象に選択科目「キャリア・ライフ・デザイン」を設置し、2つの課外プログラムを実施している。どちらも外部団体と連携し、他校の参加者と共に学び合うものだ。 その1つは、北海道の食への意識を高め、自身のキャリアについても見つめる「アニマドーレ・プロジェクト」。黒井先生もメンバーとして多様な職業の社会人と共に活動している、生産者と生活者をつなぐ団体「アニマドーレ」が提供する、高校生向けプログラムだ。農業体験や農産物販売体験、レシピ開発、地元農産物の広報動画作成などに取り組んでいる。 もう1つは、TEDの基本精神に基づく「TEDxSapporo」が主催するイベントでプレゼンを行うプログラムだ。自分の経験を振り返りながら、伝えたいアイデアを掘り起こし、その集大成としてプレゼンを実施する。 「社会人や大学生が関わることで、僕たち教員が伸ばせない面を伸ばしていけたらと考えています」(黒井先生) 進路指導も「SELF」の一環に位置付け、独自の方法で実施している。いくつか例をあげてみよう。 偶数月に実施している個人面談では、生徒が面談相手の教員を指名する。学年団の教員が得意分野をあげた一覧表を見て、生徒は相談したい教員に面談を申し込む。「哲学」をあげた相沢校長のところにも、生徒が相談にやってくるという。面談は、生徒が事前に進路希望や悩みなどを記入して持ち込む「面談カルテ」(図5)を基に行い、話した内容を担当教員がさらにカルテに書き込んだうえで、担任をはじめ学年団全体で共有している。 この面談期間中には、面談の空き時間を活用して、希望する進路分野が同じ生徒が集まる「キャリアコミュニティ」の活動が行われている。学年団によってコミュニティの種類は異なるが、医師、看護師、教師など定番化しているものも。そこでは生徒同士が情報交換するほか、例えば医師志望コミュニティでは現職の医師を招いてディスカッションしたり、教員志望コミュニティでは教育実習生のように他学年の授業を見学したりと、その進路に必要なマインド育成のための体験的な企画も実施している。 また、年1回の三者面談は、生徒が担図3 キャリアデザインプログラム「SELF」の意味と3要素図4 進路探究学習「フューチャー・ジョブ・セッション」 6年間のモデルプランフューチャー・ジョブ・セッションの様子。今ある仕事から進路を選ぶのではなく、これから必要な仕事を作るという視点を学ぶ。Stimulating Experience and Learning for the Future―刺激的な体験と将来のための学び―外部団体と連携した他校生との協働プロジェクトメンター選択権を生徒に与え、三者面談は「自分プレゼン」582019 FEB. Vol.426

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