キャリアガイダンスVol.426
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 複雑で不確実なグローバル社会を生き抜くために、今、何が必要か。そう尋ねられたとき、私はよく、自分の人生の転機について話します。それは2009年に世界経済フォーラムのYoung Global Leaderに選ばれ、ダボス会議に参加した時のことです。世界中から40歳以下のリーダーが集い、活発に意見交換するのですが、各国の同世代のヤンググローバルリーダーの教養や情報量、ディベート力、語学力の高さに圧倒されてしまったのです。 幼少期と高校時代を南米で過ごし、商社勤務時代はインドネシアに駐在。起業家としての経験も含め、多少は国際人としての自覚があっただけに、その自信が根底から揺らぎました。 劣等感にさいなまれた私を救ってくれたのは、ある外国人から言われた「あなたは傾聴力が素晴らしい」という言葉でした。アクティブな人々に囲まれて思うように発信ができず、聞き役に回っていたことが、彼の目には褒める対象として映ったのです。 それまで私は、聞き役というポジションに対して、やや否定的に捉えていました。というのも、学生時代の私は、人の相談にのるばかりで自分を前取材・文/堀水潤一 撮影/竹内弘真弱みが強みになることも。チーム力や調整力で世界に貢献世界経済フォーラムのYoung Global Leaderに選出され、現在は文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」(図2)のプロジェクトディレクターとして、高校生、大学生の留学支援活動に勤しむ船橋 力さん。グローバル社会で必要なことについて伺いました。曖昧で複雑な世界を生き抜くために何が必要かVUCA Worldを生きていく先生と子どもたちへ文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」プロジェクトディレクター船橋 力ふなばし・ちから●1970年生まれ。幼少時と高校時代に南米で過ごす。上智大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社入社。アジア等でODAプロジェクトを手がける。2000年株式会社ウィル・シードを設立し、企業と学校向けの体験型・参加型の教育プログラムを提供。09年、世界経済フォーラムのYoung Global Leaderに選出。一般財団法人教育支援グローバル基金Beyond Tomorrow代表理事、NPO法人TABLE FOR TWO International理事。13年、文部科学省 官民協働海外留学創出プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」プロジェクトディレクターに就任。中央教育審議会 初等中等教育分科会委員。82019 FEB. Vol.426

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