キャリアガイダンスVol.427
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涯学ぶ姿勢が必要で、そうした学び方を会得するのが学校という場だと思います。 失敗を恐れずに新しいことにチャレンジすることは、初めは簡単なことではないかもしれません。そのために、マインドセットを変える必要があります。 マインドセットには大別して「グロース・マインドセット」と「フィックスト・マインドセット」があります(図2・3)。前者はチャレンジを楽しむことができ、後者はチャレンジを恐れます。現代で求められているのはグロース・マインドセットです。 グロース・マインドセットを育む際に欠かせないのが、心理的安全です。『チームが機能するとはどういうことか』の著者であるエイミー・C・エドモンドソン氏は「アイデアや疑問、懸念、失敗について率直に話すことによって、その人が罰せられたり、辱められることがなく、チームが人間関係でリスクを取ることが安全であるというビリーフ(信念)があること」としています。Google社でも成功するチームの要因として心理的安全を第1に挙げています。 不確実なものへのチャレンジは誰でも不安を感じます。部下のチャレンジを促すには、まずは、「自分で考え、決めて、やってみてもよい」環境を与えることです。ただ言葉で「失敗してもいい」ことを伝えるのではなく、困難に立ち向かおうとしている人に対し、圧倒的にリスペクトして寄り添い、チャレンジしている姿勢を褒めることが大切です。 変化や競争が激しい社会では、個人の力には限界があり、集団(チーム)でものごとに取り組み新しい価値を創造することが求められています。チームでの取り組みでは「話し合い」の場面が多々ありますが、「話し合い」には4つの典型的なフィールドがあり(図4)、パフォーマンスの高いチームはこの4つのフィールドを矢印のように動くことができます。 日本では「話し合い」は「ディスカッション」と訳されることが多いですが、ディスカッションは正否を判断するような話し合いです。一方で、意味や体験を分かち合い、新しいものを生み出そうとする「ダイアログ」という言葉もあり(図5)、今後求められているのは「ダイアログ」です。例えば、進路決定について親子で意見が違ったとき、どちらが正しいかを論じるのはディスカッションで、お互いになぜそう思うか聞き合って、未来を想定しながら共に最善案を考えていくのがダイアログです。 Agileの時代にチームで合意すべきは、未来を決定することではなく、「今チャレンジすること」についてです。そのチャレンジがうまくいかなかったら、振り返って他の方法を考え、またダイアログしてチャレンジすることを繰り返しながら、新しいものを生み出していくのです。心理的安全を保証しマインドセットを変える新しいことを生み出すのはダイアログによる話し合い※図1~図8の資料提供:株式会社ヒューマンバリュー4つの典型的な話し合いのフィールドと、フィールドを変えるための介入図4話し合いをしているチームが、現在どこにいるか、どこに行こうとしているかを見極める必要がある。パフォーマンスの低いチームは下段だけで、高いチームは4つを動くことができる。全体個々● 新しいものが生まれてくる● 礼儀正しく優雅で、 深い流れがある● 他の人々の可能性を引き出す● ルールを作り出すことができる生成的ダイアログ● 問い合わせる● 聞き出す● 内部から聞く● 自分自身をみるフィールドを感じる探求する怖れをとる内省的ダイアログ● 他の人が聞きたいと思うことを話す● 話を聞き、礼儀正しく会話する● ダウンローディング● パターン、慣習、簡単な文章、 ルールに合わせる儀礼的会話● 健全なディベート● 本心から意見を述べ、 外から意見を聞く● 他人と議論する● 両者は対立する論争(ディスカッション)● 深い関係に入っていく● 外からシステムを見ているのではなく、チューニングする● 根拠を見出す● 尋ねる● ダウンロードを 超越する● 自分自身を見ていく● 自分自身からより 探求的なものに 移していく● 安全な器● 心理的に安心できる 場づくりグロース・マインドセットとは図3ダイアログとディスカッションの違い図5本来の「ディスカッション」は「ディベート」で使われている意味に近い。求められているのは「ダイアログ」だ。2つのマインドセットの違いは、「失敗した」と思ったときの脳の活性状態の違いでも証明されている。実社会はチャレンジの連続 「決める」の概念も変化している兼清俊光(株式会社ヒューマンバリュー 代表取締役社長)132019 MAY Vol.427

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