キャリアガイダンスVol.427
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チャレンジしたこと、発見したこと・気づき、やりたかったけれどできずに残念だったこと、やって誇りに思えること、得られた教訓など自分で振り返って書いてみる人に話すことで自己をメタ認知する❶の内容を仲間に話して共有する2自分で気づけなかったことへの他者の目線からの気づき❷で仲間の振り返りを聞いて感じたことを、付箋などに書いて渡す3取り組みから集団が何を学んだかを考える❸について仲間と話し合う4 学校現場で例えれば、文化祭の出し物を話し合う際、目的は文化祭の成功ではなく「文化祭で何を学ぶか」を合意すればいいのです。さらに、うまくいかないかもしれないことも合意しておけば、出し物の種類でもめることはないと思います。何より大事なのは実施した後にリフレクションすること。文化祭が成功しても失敗しても、そこからそれぞれが学んだことを振り返り、共有することです。 個人のチャレンジでも、チームでのチャレンジでも、リフレクションは最も重要となります。ただし、形式的な振り返りではなく、本人の気づきとなることが大事で、上司や教員のジャッジが入ると意味がなくなります。できれば仲間とともに4ループくらい回せると理想的です(図6)。 実践したことを振り返る内省的なリフレクションから、次の問題発見や課題解決を見通す生成的なリフレクションまで、リフレクションが習慣化されることで、「チャレンジしてみたら何かが得られる」という確信をもてるようになり、学習のスピードが速くなります。 学習は、客観主義学習的な「過去から学ぶ」、構成主義学習的な「現在から学ぶ」、さらに社会構成主義学習的な「未来から学ぶ」へと広がってきています(図7)。 つまり、実現したい未来のビジョンを描き、そこに向かうための新たな試みを通して考え方や行動を獲得することが不可欠となってきます。そのためにも、過去や現在に起きたこと、自分が行ってきたことについての意味を常に考えるリフレクションの習慣が大切です。リフレクションは、うまくいかなかった課題にフォーカスするのではなく、失敗も含めて得たものにフォーカスしなければ未来につながりません。 現代は、個人も組織も「あり方」を問われている時代だと思います。 個人のあり方は「働く意味・動機」によって次元が変わり、組織のあり方は「求める働き方」によって次元が変わります。個人と組織のあり方のレベルはシンクロし、時代とともに変化しています(図8)。 私たちが実施している企業研修でも、以前は型を教える研修が主流でしたが、現在は「社員の可能性をどう伸ばすか」「社員が主体的に動くにはどうすべきか」などのテーマが主流です。学校も企業と同様に社会の一部ですから、変化を求められ、学び方を変えていかねばならないのです。 生徒のマインドセットを変え、チャレンジを促すには、まず先生から始めてみてはどうでしょう。「生徒をこうしよう」と考えるより、大人たちの生き方を見せる方が早いかもしれません。どこから学ぶか学ぶ内容近似な学習理論過去すでに整理された知識の習得する客観主義学習理論現在自分で仮説を立てて試してみたり、他者との対話を通して知識を再構築する。枠組みの変容を自分の経験から学ぶ。問題解決を通して、学習する力やメタ認知能力を養う構成主義学習理論未来自分がやってみたいことをビジョニングして、経験はないが試してみて、成功・失敗にかかわらず、そのチャレンジから新しいことを学ぶ社会構成主義学習理論リフレクションの理想的な4ループ図6どこから学ぶかによる学習の違い図71リフレクションの習慣化で成長スピードが速くなる学校も企業と同じ社会の一部学び方の変化が求められる「個人のあり方」と「組織のあり方」の次元図8約100年前の自動車産業黎明期は、ベルトコンベアーの生産ラインに支配され、肉体的・精神的に苦痛な労働に対して金銭的報酬で服従を強いていた左下のレベルが現実だった。共創を求める社会では、個人も自分の仕事に意味を求めるようになる。【組織のあり方】求める働き方【個人のあり方】働く意味・動機Purpose内発的動機2金銭的報酬身体的安全心理的安全社会規範学習意味と個人的な充足感集合的学習訓練教育心理的報酬所属している感覚家族的ダイバーシティと「声」目的Pleasure内発的動機1Safety外発的動機2Survival外発的動機1Obedience服従Co-Operation共同Collaboration協働Co-Creation共創Health身体が健康Wellbeing多幸感Social Impact社会価値創造パフォーマンスFitness心身健康142019 MAY Vol.427

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