キャリアガイダンスVol.427
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「人間の尊厳を大切にする」という教育目標の下、大東学園高校は真に「生徒が主役」となる学校を目指して取り組んでいる。その中核となっているのが、生徒が教職員・保護者と対等な立場で学校生活の改善に取り組む、三者協議会の仕組みだ(図1)。毎年11月ころに「三者協議会」を開催。生徒が要求する、校則の見直し、施設・設備の充実、授業環境の改善などについて三者で協議し、学校を変えてきた。 「三者協議会の仕組みを通じて我々が育てたいのは、ルールにコントロールされる生徒ではなく、自分も他者も大切にする方法を自ら考え主体的に行動する主権者です。こうした活動を積み重ね、最終的には本校に校則がなくなることを理想としています」(原 健校長) 一連の三者協議会の出発点となるのは、生徒一人ひとりの意見・要望だ。それを年度はじめ、代表委員(学級委員)や各委員会が吸い上げる。多様な意見を生徒会が中心となって整理して数件に絞り、さまざまな調査を行って客観的データを集め、「要求」として磨き上げていく(図2)。 例えば2018年度は、1学年代表委員会によるヒアリングからあがった「女子トイレのサニタリーボックスの交換」について、「三者懇談会」で保護者と共に現状を確認し、業者に依頼して代替品の試験的な設置や衛生状況の確認を行ったうえで、生徒の意見を聞くアンケート調査を実施。それらを基に、三者協議会に要求の一つとして提出した。 これらはあくまで生徒主体の活動だが、それを支える組織の存在も大きい。三者の代表による「三者協議会事務局」があり、月1回会議を開いて取り組み方を打ち合わせている。 「生徒たちの成長と発達のためには、生徒主体の活動を、どう大人が仕掛けていくかが大切です。保護者の皆さんも、単に子どもの要求を応援するのではなく、保護者視点で意見を言うこと生徒が学校を変える三者協議会の仕組みのなかで主権者意識や合意形成力を身につける大東学園高校(東京・私立)校長原 健先生教頭佐々木 准先生生徒会担当赤塚輝美先生「学校の主役は生徒」とし三者が対等に話し合う生徒全体から声を吸い上げ要求を磨き上げる三者協議会に関連する主な生徒の動き(2018年度の場合)図21932年設立/普通科/生徒数963人(男子585人・女子378人)/進路状況(2019年3月卒実績)大学128人・短大3人・専門学校130人・就職19人・その他25人学校データ取材・文/藤崎雅子三者協議を支える組織図1生徒三者協議会事務局会議生徒会執行部代表委員会(クラス代表)各委員会委員長教職員保護者1学期2学期3学期〈三者の集会〉〈生徒〉総括三者協議会事務局(月1回会議)同校の三者の取り組みについての説明や、模擬協議会の体験などを実施●三者交流会生徒からあがった要望について、三者の分散会形式で意見交換や現場視察などを実施●三者懇談会これまで検討を重ねてきた生徒からの要求などについて、三者で協議、決定●三者協議会●生徒会、各委員会で今年度の方針確認●各クラス、各委員会において、 幅広い意見の吸い上げ●三者交流会の報告●学年別の二者懇談会(生徒・教職員)●サマーキャンプ (希望生徒による他校視察・意見交換)●三者協議会の報告●決定事項の施行●三者懇談会の報告●諸要求に関する生徒アンケート実施●授業改善について各学年で検討 (アンケート実施・まとめ・分析、各クラスでの討論など)242019 MAY Vol.427

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