キャリアガイダンスVol.427
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特別活動は生涯にわたる人格形成の要となるりの質を高めることになるでしょう。 学習に興味をもてない生徒であればなおさら、多様な経験のなかで自分が成長したという実感をもたせたいもの。学校生活への意欲は学業への意欲につながります。特別活動は、授業を支える環境づくりでもあるのです。 学校は社会の縮図です。いろいろな背景をもった生徒集団の中で、どう折り合いをつけて生きていくか。失敗や成功を繰り返しながら力をつけ、社会に羽ばたけるアイデンティティをつくる場です。ジャンプするときに足元が軟弱だと高くは飛べません。 学習指導要領における特別活動の目標を再確認しましょう。つけたい資質・能力は(1)多様な他者と協働する様々な集団活動の意義や活動を行う上で必要となることについて理解し、行動の仕方を身に付けるようにする。(2)集団や自己の生活、人間関係の課題を見いだし、解決するために話し合い、合意形成を図ったり、意思決定したりすることができるようにする。(3)自主的、実践的な集団活動を通して身に付けたことを生かして、主体的に集団や社会に参画し、生活及び人間関係をよりよく形成するとともに、人間としての在り方生き方についての自覚を深め、自己実現を図ろうとする態度を養う。 とあります。高校においては学園紛争以降、生徒会活動が抑制されてきた歴史があります。目の前の進路実現のために時間を使わなければいけないという現実もあるでしょう。話し合い活動も小中学校と比べて盛んではありません。しかし、ただ単に勉強しろ、では集団はもちません。学びに向かう集団をどう作っていくのか、カリキュラムマネジメント全体の中で、今一度、特別活動の位置付けを考え直してはいかがでしょうか。 何のための活動か、教師が意識するかどうかで生徒への伝わり方は変わります。図3は、2014年に国立教育政策研究所が示した特別活動の特徴です。特別活動は生徒たちに社会的な自立に向けた力をつけると同時に、教師にとっても問題解決型の授業実践につながる力を鍛え、思春期特有の人間関係など教育上の諸課題を解決する場にもなります。 生徒は担任とホームルームを選べません。それでも「このクラスで良かった」と思って卒業してもらいたいですよね。主体的な活動を通したさまざまな経験、自己決定の成功体験にあふれる学校文化は、将来「ここに通うことができて良かった」と思える学校生活の揺籠となるでしょう。 生徒たちは今この瞬間も、生涯にわたる人格の完成に向けた歩みの最中にいるのです。社会に羽ばたくときの足元を固める特別活動の役割「あの学校に通えてよかった」と思える学校生活に学級・学校文化を創る特別活動の特徴図3学校教育の基盤的な役割を果たす教師に求められる教育観を磨く●人格的,社会的な自立を培う ●自主的,実践的な態度を育む ●魅力ある学級・学校づくりを 実現する●学級経営や学業指導、 進路指導 ●集団活動を通して個を鍛える●高校期の教育課題に向き合う ●人間関係や 豊かな人間性を育てる ●問題解決に関わる 実践的な指導力を高める自己決定の連続が人格をつくる 須藤 稔 (國學院大學栃木短期大学 特任教授)332019 MAY Vol.427
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