キャリアガイダンスVol.427
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422019 MAY Vol.427(苅間澤先生のケース解説)なぜその仕事が自分と合致したか仕事内容を再確認するよう促す先生:そうか、この慣習的っていうところに入っている職業名は見てみた?生徒:ちらっと見たけど、何かあんまりイメージできない感じ。 事務員とか経理っていっても何するのかなあって。 パソコンで書類作ったり、コピーとったり?先生:確かに、普段あまり触れることがないから、想像しづらいよね。 そのあたり、学校にある資料などで職業解説があるから、 仕事内容のどんな部分が自分と近かったのか調べてみたらどうだ? 職業興味や適職診断などで、これまで触れたことのない職業領域が上がってくることがあります。つい「当たってる」「当たってない」で終わらせがちですが、そこからもう一歩進めて、とりあえずどんな仕事なのかを調べてみるように勧めてみると、意外な仕事の発見につながることがあります。その際、その仕事のどんな部分が自分に近かったのか、仕事の特徴と比べてみるように促すと、先入観でイメージしていたことと異なる発見につながりやすいでしょう。知らなかった職業を調べるきっかけにしていく展開例1(苅間澤先生のケース解説)領域のばらつき具合によって職業調べのやり方を勧める先生:Cの慣習的っていうのは、何かコツコツ努力して上達させるとか、 ルールや規則にのっとって何かをするのが好きという領域だけど、 あまり他と大きな差がないから、 いろいろな領域に幅広く興味があるとも言えるね。生徒:え~、でも、なんかこれっていうのがないけど…。先生:そうだね。じゃあ逆に、何が「これ」っていうものになりそうか、 いろいろ調べてみるというのはどうだ? 身近な社会人に、 その人の仕事インタビューしてみるのもいいだろうし、 学校の資料やネットでいろんな仕事の話を見てみたらどうだ? 領域の数値に大きなばらつきがあるかどうかによって、興味の分化(明確化)がどの程度進んでいるかがわかります。山・谷がはっきりしているほど、職業への準備性が整っていると理解できます。一方、全体に高い数値で未分化(差があまりない)の場合は、「あれもこれも面白そう!」と興味の幅が広いとも言え、その場合は絞り込みをしていく考え方も必要でしょう。また、全体に低い数値で未分化の場合は、職業理解そのものがあまり進んでいない傾向もあるので、情報収集などから勧めるのも一つです。興味の分化・未分化に注目して職業調べを方向づける展開例3(苅間澤先生のケース解説)自分の強みや興味の方向性を経験から考えるきっかけにする先生:Cの慣習的というのは、何か規則正しく努力して上達させるとか、 ルールや規則を守って処理をしたりすることが 好きだったりする領域だけど、何かこれまでの経験で心あたりはある?生徒:ふ~ん、まあ、子どものころから書道をずっとやっていて、 いつもお手本に近くなるようにコツコツ努力するのが わりと好きだったかな。先生:そうなんだ。すごいな。だから選択科目で書道をとっているんだね。生徒:はい。でも、なかなか上達しないとつらいけど…。 でも、ある日「これだ」ってなるのが楽しい。 職業興味や適職診断を見ると、つい「君はこうだ」と決めつけそうになりますが、これらの結果は、生まれつきのものを測るのではなく、その時々の状況や経験を反映します。そのため、このような結果が出ている背景を改めて考えてもらうと、その生徒ががんばっていたことにつながったり、自己理解を深めるきっかけになります。なぜこの結果が出たと思うか、何か心あたりがないか、考えてもらうといいでしょう。その話のなかから、意外な興味や好きなことにつながる可能性があります。今がんばっていること、経験の振り返りにつなぐ展開例2

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