キャリアガイダンスVol.427
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432019 MAY Vol.427論的研修を重ね、「個人と、職業界を含む社会環境は、共に同じ6つのパーソナリティ類型で分けられる」という六角形モデルを提唱し、それが世界中に広がり、多くの職業興味や適職診断で利用されています。 その6つの領域はそれぞれ、機械や物体を対象とする実際的な仕事や活動領域としての「現実的興味領域(Realistic)」、研究や調査のような研究的・探索的な仕事や活動領域である「研究的興味領域(Investigtative)」、音楽や芸術、文学などを対象とする仕事や活動領域の「芸術的興味領域(Artistic)」、人と接したり奉仕したりする仕事や活動領域の「社会的興味領域(Social)」、企画立案したり、組織の運営や経営などの仕事や活動領域の「企業的興味領域(Enterprising)」、定まった方式や規則・習慣を重視し、それにのっとって行うような仕事や活動領域の「慣習的興味領域(Conventional)」からなり、それぞれの英文の頭文字をとって、「RIASEC」と表記されます。 ベテランの先生にはお馴染みの、職業興味や適職診断の結果図としてよく目にするホランドの六角形モデル(図1)。これは、アメリカの研究者ジョン・ルイス・ホランド(J.L.Holland)による職業選択理論の基礎となるものです。ホランドは、現場で活躍するカウンセラーとして、多くの実証的研究と理 それぞれ、六角形の並びに意味があり、隣り合う領域は類似性・関連性が高く、逆に、六角形の対極にある領域とは類似性・関連性が低いという概念が提唱されています。 また、ホランドは、キャリア発達において、遺伝的な要素だけでなく、活動や興味、能力の変化とともに、家族や学校、親族、友人などの環境がそれらに影響し、個人のパーソナリティや行動のレパートリーが変化するというパーソナリティ・タイプの発達にも言及し、職業興味は一定のものではなく、環境や経験で変化するということを示しています。そのため、職業興味や適職診断を活用する際には、それが固定的なものではなく、どのような社会的、個人的背景があって、その結果が出ているのかといった「自己理解」を深めるために活用できることが望ましいとされます。 今回のケーススタディでも、それを踏まえて、同じ相談から3つの展開例を示しました。 展開例1は、興味があると出ている領域の職業は、まずは調べてみようという提案。特に、職業調べがあまり進んでいないころは、職業を先入観で捉えているために、せっかく興味領域として出ていても見逃してしまうことがあります。時には、「意外」と思ったときほど、詳しく調べてみると、新しい出合いにつながるでしょう。 展開例2は、まさに自己理解を深めていくケース。診断領域がなぜ出たのか、これまでの自分の経験や得意・不得意などにも、改めて注目していくために、診断結果を活かしていきます。 展開例3は、全体のばらつき具合から、職業への興味や職業選択の準備度合いを判断していこうというもの。実際の職業興味診断などでは、志向性や傾向など、それぞれの検査によって分析尺度があり、パーソナリティをより多角的に捉えるようになっています。導入されている診断のガイドや研修を活かして、より生徒の理解を促す働きかけを目指しましょう。今のー理解回ケス論説ホランドの六角形モデルを基にした代表的な診断ツール●VPI職業興味検査J.L.HOLLANDの原著を、独立行政法人労働政策研究・研修機構が日本語版を作成し、日本文化科学社より発行されている。●VRT職業レディネス・テスト独立行政法人労働政策研究・研修機構が作成し、一般社団法人雇用問題研究会が発行している。参考文献:『ホランドの職業選択論―パーソナリティと働く環境』John L.Holland(著)、渡辺三枝子・松本純平・道谷里英(訳)雇用問題研究会刊、『職業レディネス・テスト[第3班]ワークシート 結果の見方・活かし方』 雇用問題研究会刊、『VPI職業興味検査[第3班]結果の見方・活かし方』 日本文化科学社刊図1 ホランドの六角形モデル多くの職業興味や適職診断のベースホランドの職業選択理論R:現実的I:研究的A:芸術的C:慣習的E:企業的S:社会的対極類似性・関連性類似性・関連性
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