キャリアガイダンスVol.427
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※「PM」はプロジェクションマッピングル部の顧問を務めた際に、自分は専門外だからと一流の指導者に数回指導を依頼したところ、弱小チームがメキメキと力をつけたという経験がある。教員がすべてを教える必要はない、むしろ学校外の人たちと生徒が直接触れ合うことは生徒を大きく成長させると実感していた。 プロジェクションマッピングのプロジェクトも、地域の人や専門家との最初のつながりは教員がつくるが、その後は生徒が直接やりとりできるように心がけている。 初年度のプロジェクションマッピングは2017年12月に無事、開催された。城の壁面も石垣も使って映し1901年創立/普通科・理数科/生徒数974人(男子494人、女子480人)/進路状況(2018年度)大学、短大275人、専門学校4人、就職1人、その他37人写真右から 勝又智彦さん、今野貴斗さん、中村宙貴さん、小杉勇翔さん(部長)、榛葉司さん、西岡玲於さん、吉川牧人先生(研修課長・ICT推進委員長)プロを招いた講座を開催地域の人に協力を仰ぐ掛川工業高校の生徒も協力活動の様子はSNSでも発信出されたのは、掛川を治めていた山内一豊と妻の千代、郷土に関係の深い二宮金次郎のストーリーに加え、季節感を表現する植物や、城の形を生かした和のイメージなど。著作権にも配慮しながら作り上げた映像を約1000人の市民が楽しみ、その実績を見た市からの依頼で翌2月、3月にも上映を行うこととなった。 2年目の昨年度には有志グループの後をパソコン部が引き継ぎ、活動はさらに大きく発展した。掛川市シティプロモーション市民協働事業に応募して採択され、クラウドファンディングでプロジェクター購入資金を募り、市の社会教育事業の一環として小・中学生向けの講座を開き子どもたちの作品も上映、掛川工業高校の生徒たちが機材設営に参加…など生徒たちと地域の関わりはより広く、多様になった。 2年目の昨年12月に集まった観客は約2000人、掛川城プロジェクションマッピングは掛川市の新しい文化となった。「制作中は、成功するかわからないし人が来てくれるとも思えなかったので、ものすごい人があふれている光景を見て感動しました」「掛川は花火大会がなかったから、お城に花火の映像を映せたときは『地域の結束力でそれまでなかったものを作れた』っていう感動がありました」「地元の人たちとやってる感とか、地域のつながりをすごく感じました」と生徒たちは言う。 彼らが得たのは地域とのつながりや貢献の実感だけではない。クラウドファンディングへの協力を求めて地元企業十数社へプレゼンに行った生徒は「大変だったけど達成したときは『気持ちは伝わる』って思いました」。別の生徒は「経験を積めたのが良かったです。企業の人と話すとか、ちょっと社会に出た感じで」。 パンフレット制作担当者は「映像は作らなかったけど仲間たちががんばる姿を見てきたんで、すごい達成感がありました」「映像で人を喜ばせることができた。将来もこういうことで人を喜ばせられるようになりたい」。多様な人と関わる多様な経験は、生徒一人ひとりの内側にある何かと結びついて大きく花開いた。地域の大人との協働事業に発展幅広い経験が生徒個別の成長を促す図1 プロジェクトの軌跡■ 活動の様子2017年2月iPad60台導入2017年8月ICT係の希望者向け講座開始2017年12月第1回掛川城PM2018年2月第2回掛川城PM(富士山の日)2018年3月ダンス部の公演に協力。第3回掛川城PM(掛川市主催桜まつりにて)2018年5月掛川市シティプロモーション市民協働事業採択2018年7月掛川市シティプロモーション市民協働会議参加2018年10月小・中学生向けPM講座2018年11月クラウドファンディングスタート2018年12月第4回掛川城PM2019年3月第5回掛川城PM(ラグビーワールドカップPR)512019 MAY Vol.427

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