キャリアガイダンスVol.427
52/66

 末吉先生が悪戦苦闘しながら立ち上げた総合学習から誕生したマイプロジェクトは、都会の高校生たちに競り勝ち、2年連続で全国大会へ進むことになります。その舞台裏を見てみましょう。 三宅高校の場合、1年生のうちは先輩のプロジェクトにどっぷりと触れます。ミウさんは先輩の取組に参加したり、プレゼンを聞いたり、全国大会の土産話を聞いたりして期待感を募らせました。「やればやるほど楽しくなるよ」、先輩の言葉は輝いていました。 2年生になり総合学習が始まると、まずは自分自身のことをじっくり振り返る時間が待っています。悩んだ末にたどり着いた、ミウさんのテーマは進路でした。三宅島には小中高校どれもひとつずつしかありません。島の子どもたちは学校選 さかのぼること2014年、末吉先生はいきなりの辞令で三宅高校への赴任が決まります。これも公立教員の役目だからしょうがない。2〜3年を島でやり過ごそう、初めはそう思っていた末吉先生を変えたのは、当時の校長先生でした。このまま生徒減が続くと統廃合は避けられない。危機感をもった校長は、教員たちを島根県立隠岐島前高校への視察に連れ出したのでした。 隠岐島前高校といえば、全国屈指の教育先端校。島ぐるみで県立高校の魅力化を応援し、全国・全世界から新入生が押し寄せる個性的な人気校に転じたドラマは、今や「島前の奇跡」として語られています。三宅高校も隠岐島前高校を目指せるのではないか、校長はそう語りました。体どんな仕掛けがあるのでしょうか? なかでも本稿では東京都立三宅高校と角川ドワンゴ学園N高校に注目することにします。 太平洋にぽつりと浮かぶ三宅島。人口は2489人。この島にひとつしかない高校が三宅高校です。2018年度の全校生徒は26人。生徒たちは農業科・家政科・普通科に分かれて学んでいるので、1クラス数人という環境です。 バドミントン部のミウさんは、たった3人の学級で学ぶ2年生。総合学習の授業から始めた「島っ子ゆめプロジェクト」で全国大会へと進みました。伴走したのは末吉智典先生です。 ひとたび探究心に火が灯った高校生たちは、自ら動き始めます。00年代後半、首都圏では「学生団体」ならぬ「高校生団体」という潮流が生まれ、スーパー高校生たちの活躍が目立ち始めました。 そして今、走り出した高校生に追いつくかのように国が動き始めました。新しい学習指導要領の実施に向け探究を軸とした教科再編が進む中、主体的な学びを高校生全体に押し広げることが求められています。はたして、授業から高校生主体のアクションは生まれるのでしょうか。 そのヒントを全国高校生マイプロジェクトアワードの7年間の足跡に探すことにしましょう。過去の表彰歴をさかのぼると、毎年のように入賞する「常連校」が現れつつあります。コンスタントに生徒をアクションに導く常連校の現場には、一認定NPO法人カタリバパートナー今村 亮1982年熊本市生まれ。東京都立大学卒。創業期からのディレクターとして、カタリ場事業、カタリバ大学、中高生の秘密基地b-lab、コラボ・スクールましき夢創塾、全国高校生マイプロジェクト事務局を手がける。文部科学省熟議協働員、岐阜県教育ビジョン検討委員会委員を歴任。2019年に独立し「ディスカバ!」立ち上げ中。慶應義塾大学にて非常勤講師を兼務。共著『本気の教育改革論』(学事出版)。島に守られているから、生徒を送り出せた考えたり調べたりにとどまらず、アクションに踏み出した高校生だけが挑戦できるマイプロジェクトアワード。文部科学大臣賞の栄冠をかけた熱戦が今年も決着しました。その舞台裏には、562プロジェクト2713人の高校生を支えた全国192校のドラマがあります。高校生はどんなときに自ら動き始めるのか? そのヒントを探してみましょう。522019 MAY Vol.427

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る