キャリアガイダンスVol.427
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三幸学園設立当時、高等教育機関のなかには、学校の都合を優先し、それを学生に強いるところが少なくないと感じていました。社会人が多く受講する通信教育課程で、スクーリングの日程を平日にしか設定しない学校などはその典型です。 教職員中心ではなく、学生中心の学校をつくりたい。お客様第一というビジネスでは当たり前の発想を取り入れ、三幸学園はスタートしました。 今ある61の専門学校、大学・短期大学等はすべて学生第一の発想で動いています。積極的にアクティブ・ラーニングを取り入れ、眠たくなるような授業や、試験のためだけに暗記させるような講義はありません。なにも多くの教育機関をつくってきたか。それは人間、誰にでも可能性があり、それが教育によって伸びる様を目の当たりにしてきたからです。それまでスポットライトがあたらず、自己肯定感の低かった学生が、自分の可能性に目覚め、自信をつけていく姿は本当に感動的です。 大手美容室チェーンのオーナーや上場企業の社長になって再会を果たすなど、卒業生の活躍ぶりにも目を見張るものがあります。そうした学生を育んできたのが、「あきらめない教育」であり、教員の情熱なのです。 教員の採用に際しても、専門知識や技術以上に情熱を大切にしてきました。知識や技術も、もちろん大切ですが、それらは努力と経験によって、後からいくらでも身につけることが可能です。しかし、情熱がなければ何も始まりません。 三幸学園の教育理念は「技能と心の調和」です。優れた技術を身につけることだけではなく、人を支えていけるような強い気持ちや、思いやりの心を併せもった心豊かな人間性の調和。これを実現していくのが、生徒一人ひとりの可能性を信じ、情熱をもって学生と向き合う、「あきらめない教育」だと信じています。【学園長プロフィール】とりい・ひでみつ●1947年生まれ。法政大学経営学部卒業。株式会社オンワード樫山退職後、医療事務代行業を開業。27歳で株式会社日本教育クリエイトを設立し代表取締役社長に。85年、学校法人三幸学園を設立し理事長に就任。現在、学校法人三幸学園学園長ほか、社会福祉法人三幸福祉会理事長。【学校法人プロフィール】全国主要都市で61校の専門学校を展開。医療事務、医療秘書、介護福祉士、保育士、幼稚園教諭、アスレティックトレーナー、スポーツインストラクター、美容師、エステティシャン、ネイリスト、ブライダルプランナー、パティシエの養成など教育内容は多岐にわたる。2007年、東京未来大学開学。09年、通信制の飛鳥未来高校開校。学校ではなく学生を第一に。あきらめない教育と教員の情熱で学生の可能性を最大限伸ばす 課外でも学生が活躍する場を無数に用意しています。例えば、新入生歓迎会におけるパフォーマンス披露の準備では毎年、多くの学生による議論が白熱します。在校生代表として歓迎の言葉を読む大役も希望者が多く、オーディションが開かれることも普通です。地域単位で開催される合同体育祭「三幸フェスティバル」では、大会実行委員やパフォーマンス委員が大活躍。オープンキャンパスでは、広報委員が高校生や保護者に対して丁寧に学校の説明をしてくれます。そのすべてが成長の場。リーダーシップやコミュニケーション力なども自然と身についているはずです。 教育者でもなかった私が、なぜこん̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/松本朋之学校法人三幸学園学園長鳥居秀光552019 MAY Vol.427

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