キャリアガイダンスVol.427
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生徒を見取って授業をデザイン保健体育の先生には、「体育」を通して生徒の心身の成長を支えたい、という情熱をもたれた方が多いと思いますが、「保健」にはどんな想いをおもちでしょうか。その授業に可能性を感じ、夢中になった先生の実践をご紹介します。取材・文/松井大助撮影/松本美緒広島女学院中学高校(広島・私立)大学卒業後、1年間の非常勤講師を経て、広島女学院中学高校の教員に。昨年度までSGH校であった同校で、生徒には「もう一つのSGH」として「生活をぐーんとよくする保健の授業」というキャッチコピーも発信している。ICT機器係として、校内でのICTの活用も推進。保健体育今田英樹先生 もっとも、今田先生は「正しい保健の知識を身につけても、それだけで『実践』できるわけではない」とも思っている。 「詰め込みでは意味がなくて、飲酒でも性のことでも、行動の選択を迫られたときに『枝葉の知識ではなく肝心なことを頭の中から引き出せるか』、そして『自分が正しいと思う選択をまわりの空気に流されず主張できるか』が大事だと思うんですよ。ですから授業では、学んだなかで各自が重要だと思ったことを自分の言葉で発していく、ということも重視しています。授業で1回頭の中に入れたものを『自分のもの』にしてほしいからです」 知識を知識のまま眠らせず、その知識をもとに具体的なアクションまで起こせるように。保健で学んだことを「今日からの行動」につなげよう、と、今田先生は生徒に投げかけるようになった。 2学期に約10時間かけて取り組むのが性教育だ。教科書の内容を踏まえつつ、今田先生が組み立てた構成で、週1回の授業を2年生に対して行っている。 前半戦でふれるのは命誕生のドラマ。月経の仕組み、性交から着床、胎児の成長、分娩のことなどを動画も交えて学び、奇跡的な確率のめぐりあわせで命が生ま 広島女学院中学高校の今田先生は、体育の授業中に生徒の「できた!」という顔に出会えるのが好きで、教師になった。だから、当初の関心はもっぱら体育にあり、保健の授業は定期テストの出題のためだけにやっていたようなものだった。 でも、そんな姿勢では生徒に失礼だ。保健の授業も「この子たちの未来に少しでも残るものにしたい」。そう思うようになってから、意識が変わったという。 「生徒に何を残せるか考えたとき、保健で学んだことをもとに『自分で考えて行動を選択できる』ようになってほしいと思ったんです。保健で学ぶのは生活に関わる大切なことばかり。僕ら教員がおざなりな授業をしていたら、その価値を損ねてしまう、と思うようになりました」 そこで今田先生は、生活との結びつきを実感できる保健の授業を志向するようになる。1学期は「大学生や社会人になって仲間から酒やタバコをすすめられたらどうする?」と問いながら喫煙・飲酒・薬物乱用について学び、2学期は「付き合う人ができたら」という未来を見すえて性教育に取り組み、3学期は「受験勉強や仕事でストレスがたまったら」という想定のもとで心の働きやストレスへの対処法を学習する、といったように。自分で考えて行動するための「知識」と「実践力」をなぜその行動を選択するのか自分の意志や理由を育てる生徒に対する想い授業の実践562019 MAY Vol.427

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