キャリアガイダンスVol.427
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思い描いている授業の在り方目指す生徒像実社会にあるものとの連動他の教育活動との連携● 保健で学んだことを生かして「自分で考えて行動を選択できる」ようになる● 指示されたことにその場だけ従うのではなく、大事だと思うことに生徒が自分で気づき、自ら行動を変えていく● ICTを身近な文房具のように使いこなす学級運営や部活動でも、教師の指示は控え、生徒同士がどんな集団にしたいか意見を出し合って運営する、生徒自治を基本に今または近い将来に生徒に起こりうる場面を提示して保健の知識を問う。例えば、・ 大学生や社会人になってお酒をすすめられたら・ 付き合う人ができたら・ 受験勉強や仕事でストレスがたまったら他教科の先生とも「生徒が自分で気づく・学ぶ授業」という視点から、授業展開やテスト手法、ICT活用について情報交換保健の授業・ 生徒が調べたことや学んだことを、隣同士やグループで、自分の言葉で説明し合う・ 学んだことをホームページを作成し発信・ 記述式テストで行動選択の理由を問う・ 日常生活に結びつく保健の知識・ 自分の考えや意見を発していく力・ 学んだことを「行動」につなげる力・ ICTも活用し情報を収集・発信する力知識や能力を「活用」する場面知識の「習得」や資質・能力の「育成」■ INTERVIEW――保健の授業でどんなことが印象に残っていますか?「飲酒とか妊娠とかについて、自分たちでホームページを作ったことです。Googleの機能を使って、自分で文章を作って資料も入れて、みんなでシェアするんです」「発表するのも楽しかったです。一人で手を挙げて発表するのではなく、みんなで話し合ってホワイトボードとかにまとめて発表するので、何でも言いやすかった」――授業で学んだことで、日常で気をつけるようになったことや、家族など他の人にも伝えたことはありますか?「家族とたばこやお酒が体に及ぼす影響について話し合いました。外でたばこの煙を意識するようにもなりました」「喫煙は害になるけど、飲酒は適量ならストレス解消につながるというのが面白くて両親とも話しました。危険薬物の断り方も学んだので、いつでも言えるようにしています」「妊娠から出産までの流れを詳しく知ったことで、前よりも自分のことを大切にしようと思うようになりました」自分のことを大切にしようと前よりも思うようになった2年B組の皆さん それが後半、自分の体や命の神秘への理解を深めてから、中絶や避妊のことも学ぶと、自分はどんな行動を選択するか、意志の表明ともいえる記述が増えるのだ。「中絶する人のなかにも本当にたくさん理由があるので、悪いイメージだけをもつべきではないと思いました。自分の行為には責任をもつようにしないと」 「中絶すると命を殺すことになり、自分の心も体も傷つく。既に子どもが産める体なのだと自覚し、今子どもができたら育てられない現実も頭に入れたい」 「中絶はよくないと思う。避妊してほしいときはちゃんと言ったり、嫌なときは口に出して相手に伝えようと思った」 また、1年の終わりに生徒から寄せられた感想を見ると、保健の知識を「自分のもの」にしてほしいという意図も、多くの生徒にきちんと伝わったようだった。 今田先生が腹を据えて実施した2学期の性教育。授業のつど記入する振り返りシートを追うと、生徒がまず気づきを得て、そこから次第に日々の行動選択まで考えるようになった様子がうかがえた。 中盤までの書き込みで目立つのは、授業で気づかされたことへの純粋な感想だ。 「生理について知らないことがこんなにもたくさんあることに驚きました」 「精子くんがこんなにも命がけでがんばっていることを知って感動しました」 「卵子が生きていられるのは数時間ときいて、受精はすごい確率だと思いました」 「丸暗記になる教科が多い中、言葉で説明して学ぶ大切さを知ることができました」 「最初は『もう知っているよ』という姿勢で授業を受けていたけれど、人に説明しようとなると『わからない、どうして?』となって、知るって大切だと感じた。知ったうえで話すと自分もなるほどと思うことがあったので、有意義な1年でした」 「何がだめなのか、ただ『だめ』ではなく自分で説明できることが大切なのだと学べました。当たり前のようで当たり前じゃない、知っているようで全然知らないことが多かったです。学べてよかった」 何より今田先生にとって嬉しく、かつ居ずまいを正されるのは、最後には生徒たちのほうが、保健を学ぶことの価値をしっかりと感じてくれていたことだ。 「数学とか英語とかも大切だけど、一番将来役立つのは保健だと思いました」 「これからの人生で絶対に役立つこと、知っておかないといけないことを学べて本当に良かった。全人類に受けてほしい」 教員志望の原点である体育の授業には、今も強い思い入れがある。「でも最近、それと同じかそれ以上に保健の授業が楽しいです」と今田先生は笑顔で言う。生徒はこう変わる知識を自分のものにして行動の選択に生かすように毎授業生徒が記す振り返りシート。生徒の感想に今田先生がコメントを返し、フィードバックもしている。※先生・生徒の所属・学年などは取材当時のもの592019 MAY Vol.427

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