キャリアガイダンスVol.427
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私は、学校法人ミスパリ学園の理事長であるとともに、エステティックサロンの経営者でもあります。専門学校とサロンは、時として相反する立場となります。例えば、専門学校からすれば、長い時間をかけて大切に育てた学生を、労働条件の整わない職場で働かせるわけにはいきません。卒業生が、成長し幸せになれるよう、職場に期待するのは当然のことです。 一方サロン側としても、お客様に不安な気持ちを抱かせることのないよう、若い社員であっても、理論に基づく高い技術はもちろん、礼儀正しさや教養なども求めます。そのため専門学校に対して「もっともっと、しっかり教育して」と言いたくなるわけです。ステティックマスター学科」もその一つ。高齢化に対応した介護予防のカリキュラムも整えています。 そして現在、構想しているのが専門職大学の設立です。私どものサロンは、アジア各地に展開しているのですが、就労ビザの取得に際して、より高水準の教育、つまり学士の資格が求められるようになってきたことも背景にあります。私は、日本人の丁寧な技術や気の利くサービス、常に清潔で美を大切にする国民性、そして、人の幸せを自分のこととして喜べる美しい心は、世界に誇るべきものだと実感しています。それを世界に広げていくためにも、ぜひ実現したい構想です。 加えて、卒業生が、この業界で長く活躍してもらうために、今後はAI技術なども活用しながら効率や生産性を高め、働きやすい環境を整える必要があると痛感しています。 私がサロンを開業した35年程前、お客様の中心は専業主婦の方でしたが、働く女性が増えるなか、美に対するニーズも変化してきました。今後、ロボットやAIの進化で働き方は激変するでしょう。そうした変化の中にあって、私たち自身も変化しながら、この仕事を通して、豊かで幸せな人たちを増やしていきたいと考えています。【理事長プロフィール】しもむら・あけみ●1957年生まれ。池坊短期大学卒業。2008年より現職。ミス・パリ・グループ代表。【学校法人プロフィール】2008年学校法人ミスパリ学園設置。ミス・パリ・ビューティ専門学校(東京校・大宮校)、ミス・パリ エステティック専門学校(大阪校・名古屋校)に、トータルビューティ学科、美容学科、スパ・セラピスト学科、エステティックマスター学科ほか、認定セラピスト科、美容学科通信教育課程、認定エステティシャン通信教育科を有する。教育理念は「美しく聡明で品格あるプロフェッショナルの育成」。専門学校とサロン。時に相反する立場からの要望に応え、互いを高めあうのが私の役割 そうした相反する要望を踏まえ、互いに必要とされる専門学校であり、サロンであり続けなくてはなりません。そのため、間に立つ私は、理事長として、教員に厳しい要求もします。ただ、教員の多くは、サロンで経験を積んだプロであり、お客様に育てられてきた人たちです。その大切なお客様のもとに、若い人たちを送り出すわけですから、指導に手を抜くことはありません。 開校当初から業界の先をいく充実したカリキュラムも、年々濃密になってきました。学生の将来を思うと、「ここが足りない。これも経験させたい」と欲が生じてしまうのです。一流サロンで活躍できるスペシャリストや経営者、指導者を育成するために設置した「エ̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 学校法人ミスパリ学園理事長下村朱美612019 MAY Vol.427

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