キャリアガイダンスVol.427
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リクルートサービスを活用した実践事例【学習】※先生・生徒の所属・学年などは取材当時のもの創立1962年/普通科(男女)・保育科(女子)生徒数1723人/進路状況(2019年3月実績)大学進学:246人、短大進学94人、専門学校進学98人、就職31人、その他37人 夏の甲子園大会で優勝し、昨年は全国高校サッカー選手権でも優勝を果たした前橋育英高校。全国有数のスポーツ強豪校だが、近年は学習改革にも積極的だ。 「きっかけは、文部科学省が高校教育改革として掲げた『学びの基礎診断』です。本校の教育体系は普通科4コースと保育科。『特進選抜』『特進』コースの生徒たちは基礎学力や自学力もありますが、大学進学が推薦やAO入試中心の『総合進学』『スポーツ科学』コースと保育科では、基礎学力の定着が長年の課題でした。生徒によって異なる学び残しを授業でサポートするのは、非常に難しい。現状打開には、生徒それぞれに適応したアダプティブに学習できるツールが必要です。同時に、知識を詰め込むのではなく、〝学び方を教えること〞が基礎学力定着の鍵になると考えていました」と進路指導部主任の渡辺貴弘先生。 この課題解決に向け、同校では2017年4月にスタディサプリを導入。中学までの学力を測る「到達度テスト」を行い、生徒一人ひとりのテスト結果に応じた学び直しの連動課題配信をスタートさせた。 「アダプティブな個別配信が手間なくできるだけでなく、課題が理解できない生徒には講義動画を見るように指導ができるので、学び直しをしながら学び方も身につけられる。それが、スタディサプリを選んだ理由です。ただし、自学習慣のない生徒たちに課題を与えただけでは、積極的に取り組みません。そこで、やる気にさせるシステムづくりを工夫しました。その一つが、年5回の定期試験後に英数国3教科の『到達度テスト連動課題』を配信し、2週間でクラスごとの目標達成率を競わせる取り組み。達成率の中間発表を行うことで生徒のやる気を引き出し、定期試験後に実施することで、試験勉強後も気を抜かずに勉強をする習慣づくりにつながりました。また、『総合進学』『スポーツ科学』コースと保育科では、3年生を対象に希望参加できる〝仮想の英語強化クラス〞を設置。受験に役立つ課題を7月から2月まで毎週配信し、生徒からも好評でした」と渡辺先生。 1年目の成果を受け、昨年度からは「特進選抜」「特進」コースでもスタディサプリを導入し、定期試験後の「到達度テスト連動課題」を5教科で実施。数学科では思考力強化のために、生徒各自が問題を解いた経緯を記す〝サプリ用ノート〞を作り、週末課題に取り組んでいる。 「本校の生徒は、与えられた課題に前向きに取り組もうとする姿勢をもっています。昨年1月、サッカーで全国制覇した翌日に、仮想英語クラスの課題をやっていたサッカー部員もいました。自学習慣ができてきたことは本当に嬉しいです」と渡辺先生。 今後はスタディサプリをアクティブ・ラーニングに活用するなど、新しい挑戦をしていきたいと意欲的だ。「到達度テスト連動課題」で学び残しを配信。適アダプティブ・ラーニング応学習で自学習慣が確実に定着学び残しがある生徒の弱点克服と基礎学力定着をどうサポートするか課題定期的な学び残し学習で、試合翌日も課題に取り組む習慣が身についた活用取材・文/丸山佳子 学び直し  基礎学力の定着  自学習慣  eポートフォリオ【活用キーワード】スタディサプリ活用法● 年5回行う『到達度テスト連動課題』は クラス対抗でミッションコンプリート!● 「特進」2コースでは、「サプリ用ノート」 を作って数学の思考力を強化● 昨年4月から、スタディサプリの 「ポートフォリオ」もホームルームで活用●生徒たちのサプリ活用法前橋育英高校(群馬・私立)「総合進学」「スポーツ科学」コースと保育科の1~3年生は、定期試験後の2週間で、自分が学び残した課題(英数国の各科目×3課題)の復習を行う。「1週間経過したところで課題提出率をクラスごとに発表します(上図)。既にコンプリートしたクラスがあると、それに追いつこうと、他のクラスもロングホームルームなどを使って課題に取り組むようになりました。これからも生徒のやる気を引き出すサプリの使い方を考えていきたいですね」と進路指導部副主任の新井直人先生。数学強化のために、進路指導部と数学担当の礒部恭史先生が話し合い、「特進」2コースでは授業に連動した「スタディサプリ」の課題を週末に出し、解いた道筋をノートに書いて提出することに。「1年続けて力がついてきました」と礒部先生。「中学時代から英検を受けていたので、高校入学後はサプリの英検対策講座で勉強しました。接頭語や接尾語で単語の意味が予測できるようになり、英文法も深く理解できるようになって、6月の英検で2級に合格。今は主要科目の復習の他、興味ある化学の予習にも活用しています」樋口夢乃(ゆの)さん 1年特進選抜コース「以前は勉強が苦手でした。高校に入り、目標の大学を決めてからは、電車の中でもサプリで復習や課題に取り組むなど、勉強をする習慣がつきました。定期テストや課題のわからない部分は、講義動画を見て勉強をします。自分のペースに合わせて取り組めるので使いやすいです」横堀花摘(なつみ)さん 1年総合進学コース「活動記録をまとめるポートフォリオは、新たな入試制度で必要になるだけでなく、自分の考えを言葉でまとめる良い訓練」と進路指導部副主任の西岡良幸先生。ホームルームで活用している。写真左から進路指導部副主任西岡良幸先生進路指導部主任渡辺貴弘先生進路指導部副主任新井直人先生652019 MAY Vol.427

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