キャリアガイダンスVol.428
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「生徒の現状をよく見てください。よい点や足りない点は何で、どんな力を育みたいか。その実態を捉える眼鏡に活用してほしいのが『人間関係形成』『社会参画』『自己実現』の特別活動の三つの視点です」 続いて一連のHR活動の中心となる議題や題材、その時間のねらい、授業展開、事前・事後の指導も練る。授業の展開では「生徒が自分事で捉えられるか」が大事だ。 「議題や題材は『クラスの現状に合うか』『切迫感があるか』を吟味してください。例えばHR活動でいきなり『20年後の自分を考える』とやっても、生徒には切迫感がありません。それよりも『体育祭で各自が何に挑むか、どんな力が必要か』は切迫感がある。それを切り口に『体育祭で何ができた? そのできたことは社会や会社でどう活きる?』とつなげたら自然な流れで20年後のことが自分事にできるのでは」 特別活動の特質、「集団活動」と「実践的な活動」を確認することも重要だ。 「HRの集団活動は『クラス全体で物事を決める』のが醍醐味です。『合意形成』をする授業なら必ずクラス全体での話合いを入れます。自己の『意思決定』をする授業なら、終始一人では考えず、小集団で構わないので話合いを経て決定する過程を入れます。問題は、そうして決めたことを、そのHR活動中に実践まで行うのは難しいこと。だから『実践しようとする意欲付け』が実践への意欲付け生徒が合意形成・意思決定したことを振り返り、実践への意欲につながるよう促す。こんな発問や、こんな話し合いの仕方をしたら、生徒はどう動くかな? その想像力が必要なように思う。生徒による宣言、振り返りシートの記入、廊下への掲示などが考えられるかなあ。本時の導入や展開を考える合意形成を図る活動では、司会の生徒が議題を提案。意思決定を目指す活動では、原則教師が議題を示し、話し合いを進める。 合意形成を、一部の生徒でなくクラス全体でしているか 集団で互いのよさや可能性を引き出したうえで意思決定をしているか本時の題材(議題)ねらいを置くHR活動を通して、みんなで合意形成を図る「議題」、または意思決定を目指す「題材」を設定。その授業のねらいも明らかにする。 題材(議題)は生徒が自分事として捉えられるものか ねらいに置く資質・能力は生徒の実態に合うものか飛躍したねらいでは授業が空転しそう。生徒から登る階段が見えるようなねらいにしたい。ワークシートで授業の展開を考える誌上研修会事前・事後の指導を考える取り組む「題材」が1コマのHR活動だけでやりきれないときは、前後のHR活動や朝や放課後を活用することも。日頃から計画的に思考や議論を促すことが、合意形成や意思決定の質を高めるのかもね。※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.428)162019 JUL. Vol.428

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