キャリアガイダンスVol.428
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生徒の資質・能力を育む特別活動 2019年度より併設型の中高一貫教育校として新たなスタートを切った三次中学校・高校。2013年度から文部科学省の「高等学校普通科におけるキャリア教育の実践に関する調査研究」の指定を受け、学校設定科目「巴はきょう峡」と総合的な学習の時間、LHRの時間を使って、キャリアプランニング能力の育成をはじめさまざまなプログラムを実践してきた。2017年9月に中高一貫化が決まり、6年間を見越したキャリア教育カリキュラムを策定するなかで新たに立ち上がったのが、「プロジェクト巴峡」だ。「従来の巴峡の取組には〝生の体験〞が不足しており、生徒は一生懸命に取り組むものの、何にどうつなげていくかが課題だった。そこで、「巴峡」を通して培ってきたノウハウを基に、カリキュラムの中心となる総合的な探究の時間(以下、総合)を特別活動(以下、特活)や各教科の内容と位置付けながら再構築していった」と高校教務部の白石卓也先生は語る。高校進路指導部進路指導主事久保慎太郎先生中学校教務部主任物見 優先生高校教務部白石卓也先生中学校教頭原田二郎先生高校総務部副主任中本真吾先生高校教頭松島康浩先生横断型の系統的な学び「プロジェクト巴はきょう峡」取材・文/笹原風花 プロジェクト巴峡とは、三次中学校・高校が行う教育活動全体を指す。つまり、同校では「すべての教育活動はキャリア教育である」と捉えているのだ。「成熟した未来社会の形成を目指して、社会を進化させるための資質・能力を育てることを目的とした、教科・科目、総合、特活、課外活動などあらゆる学びを横断した6年間の系統的なカリキュラム。生徒の主体的な進路の実現を図るキャリア教育プロジェクトと位置付けており、特に総合と特活では、生徒の主体的な活動を促す取組を重視している」と高校教頭の松島康浩先生は説明する。 プロジェクト巴峡では、6年間を3つの段階に分け、中学1、2年を「主体性の構築」、中学3、高校1年を「主体性の確立」、高校2、3年を「主体性の発揮」と位置付けている(図1)。そして、中高のスムーズな接続や日常的な関連性を意図しつつ、具体的なカリキュラムについては中学校と高校でそれぞれ特色あるものを展開している。例えば中学校では、総合的な学習の時間で3年間を通して「地域の持続性を高める活動(地域を見つめる、地域から学ぶ、地域の未来を考える)」を行いつつ、「プレゼンテーション」の授業で「多様性への理解力・協働性を高める活動」や「言語表現活動」を行うのが特ここからは、目の前の生徒の課題や育成したい生徒像を基に特別活動をデザインし、実践している4つのケースをご紹介します。実践事例レポート協働して課題を解決する体験を通して、社会形成に必要な資質・能力を育成するカリキュラム再構築にあたり、特別活動の役割を明確化三みよし次中学校・高校(広島・県立)「プロジェクト巴峡」の考え方図1知徳体志美中1中2中3高1高2高3目指す姿を実現するため、生徒の主体的な学びを促す「プロジェクト巴峡」を実施プロジェクト巴峡各教科・科目総合的な学習の時間特別活動・課外活動重点的に育成する資質・能力段階学年1898年創立/全日制普通科 生徒数549人(男子237人・女子312人)進路状況(2019年3月卒業生)大学140人・短大7人・専門学校等43人・就職3人・その他10人学校データ※学校の資料を基に、編集部にて作成主体性の構築主体性の確立主体性の発揮三次中学校・高校(広島・県立)学びをつなぎ、未来へつなぐ 「特別活動」Case1232019 JUL. Vol.428

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