キャリアガイダンスVol.428
30/66

取材・文/藤崎雅子1944年開校/総合学科 生徒数246人(男子98人・女子148人)進路状況(2019年3月卒業生)大学18人・短大3人・専修学校/各種学校29人・就職26人・その他1人学校データととなった。順次、学校行事・学期・年間の振り返りを記入する3種類のワークシートを作成(図1)。その活用の流れはこうだ。 日常的に、講演会や研修旅行などの行事の感想や気付きを記録。学期末には、それらを含むさまざまな活動の記録を見返して自己評価を行い、次学期の目標や活動に活かす。そして、年度末には1年間を振り返り、次年度や10年後の見通しを立てる。昨年度末の振 高知県の西端に位置する宿毛高校は、人文、自然、福祉文化、商業、体育の5系列からなる総合学科高校だ。「将来の進路について主体的に考え、進路を実現する能力」「興味や関心のある分野を見つけ、研究・探究・創造する能力」「学んだことを表現・発表できる能力」の育成を目指し、産業社会と人間、および総合的な学習・探究の時間において、職場体験や探究活動を組み込んだキャリア教育のプログラムを展開している。 「これは素晴らしいプログラムだと自負していますし、教員も精力的に取り組んでいます。しかし、3年生になっても主体的に進路が決められない生徒の多さに、別の打ち手の必要性も感じていました」(谷脇澄男校長) そんな課題感があったからこそ、県の「キャリア・パスポート」活用研究事業の指定には現場の負担感も懸念されたが、「生徒のためになることならこのチャンスを活かそう」(浦田賀洋教頭)と受諾。その企画・推進を担当した総合学科推進部長・小島大和先生は、前例が少なく難しい挑戦への不安とともに期待もあったという。 「さまざまな経験でせっかく気付きや学びがあっても、人はすぐ忘れてしまうもの。振り返り記録しておくことで、進路決定の場面でも良い効果が出るのではと期待しました」 18年度は、1・2学年を対象に、「キャリア・パスポート」の活用を開始するこ「進路が決められない」への打ち手として期待独自のキャリア・パスポートで学期末・学年末に自己評価写真右上から、校長 谷脇澄男先生、教頭 浦田賀洋先生総合学科推進部長 小おじまひろかず島大和先生、2学年主任 菊池範之先生、2学年担任 長田 京先生、2学年担任 三谷大樹先生、3学年担任 中越陽一先生学びや成長に自覚的になる活動を積み重ね自分で進路決定する力へ宿毛高校 自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価するためのツールである「キャリア・パスポート」(22ページ参照)。来年度からの本格実施に向けて、特別活動で取り組む動きが加速している。高知県では2018年度に宿毛高校と春野高校を指定し、キャリア教育のさらなる充実を目指した「キャリア・パスポート」活用研究事業を2年間実施している(19年度は4校指定に拡大)。 当初からの指定校2校はいずれも、「キャリア・パスポート」とはどういうものかを学ぶところから出発。校内の連携を図りながら、独自の書式を作成し、それを用いてHR活動の一環として定期的に振り返りと今後の見通しを行う体制をつくってきた。「キャリア・パスポート」は地域や生徒の状況に合わせて取り組むことが求められており、共通する「正解」はない。独自の方法で進められた、2校の取組を見ていこう。宿すくも毛高校・春野高校(高知・県立)学んだことを定期的に振り返り自ら将来を見通すことのできる力を育成ホームルームで「キャリア・パスポート」を活用302019 JUL. Vol.428

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る