キャリアガイダンスVol.428
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 片山学園中学校・高校は2016年度より、高校卒業時点の進路実現から、社会を見据えた資質・能力の育成へと軸足を移す学校改革に取り組んでいる。授業、総合的な学習・探究の時間(以下「総合」)、特別講座「土曜塾」、進路学習における「4つの探究」を柱として、学びの自分ごと化を中心に据えた資質・能力を育成する、同校独自の教育の形が見えてきたところだ(図1)。 同校は4年前まで、まったく違うタイプの学校だった。大手学習塾を母体として05年に開校し、教員には系列塾の講師出身者が就いた。「孝・恩・徳」を校訓とし、塾とは一線を画す全人教育を掲げて創立された学校だが、新設校が地域で信頼されるためには大学合格実績も必要だ。週6日37時間の授業と週2回の夜間授業に加え、多くの補習を実施し、わかりやすい授業と受験指導によって、1期生から東京大学や国立大学医学部など難関校の合格者を輩出。開校から10年が経つころには、進学校として一定の評価を獲得した。 一方で、生徒の学力の多層化が進み、すべての生徒を伸ばすにはどうしたらよいかという課題が顕著に。高校校長の松原 肇先生は「授業中、楽しくなさそうな生徒の表情を見て、従来の教育の限界を感じた」と当時を振り返る。こうした状況の突破口を求め、松原校長をはじめ数人の教員が意見交換を行うようになった。「私た創立の原点に返り「将来活躍できる力」育成にシフト教科の学びの本質を見据え進めてきた授業改革ちはどんな生徒を育てたいのか?」「学校とはどんな場であるべきなのか?」…そのなかで明確になったのが、「ゴールは大学受験ではない。20年後、30年後の世界でリーダーとして活躍できる力の育成を大事にしていきたい」と、創立の理念に立ち返る必要性だった。 校訓を基盤とし、探究する姿勢や思考する力をもって主体的に学ぶ生徒の育成に真に取り組んでいこうと、15年11月、全教員で学校改革の柱を共有。そのなかで最優先事項にあがったのが、学校活動の中核である「授業」だ。その手段として、当時広がりつつあったAL(アクティブ・ラーニング)に着目し、この活用による授業の質的転換に向けて歩み始めた。一連の改革の推進役は、「将来につながる授業の学びもキャリア教育の一環」(高校教頭・進路指導部長 森内梨絵先生)との考えから、進路指導部が担うこととなった。 数カ月の準備期間を経て、16年度、中1〜高3の全教科でAL型授業に取り組み始めた。ただし、形だけアクティブになることには意味がない。生徒が自ら学ぶための環境設定の第一歩として、授業始めに本時の目標を提示し生徒と共有することと、最後に振り返り(リフレクションシート記入)を行って学んだことの内面化を図ることの2点のみ行えばよいと、導入のハードルを低く設定。あとは教科の特性やクラスの状況に応じて個々で工夫するものとした。大学進学を焦点とした指導から、社会を生きるための資質・能力育成の支援へ。塾を母体として誕生した進学校が、授業をはじめとする教育活動全体を見直し、すべての学びを生徒の将来につなげていけるよう、ダイナミックな学校改革を進めています。取材・文/藤崎雅子先進校に学ぶキャリア教育の実践片山学園中学校・高校(富山・私立)授業を軸にあらゆる教育活動を改革し本質を探究する主体的な学習者の育成へ資質・能力育成の観点からの学校改革 全教員による授業改革 ルーブリック総合的な探究の時間 課外講座 特別活動 体系的な進路指導442019 JUL. Vol.428

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